ベネズエラ、外貨減少とインフレ上昇に直面へ 米の「封鎖」で
写真はカラカス市街。11月29日、ベネズエラのカラカスで撮影。REUTERS/Gaby Oraa
[17日 ロイター] - 米国が制裁下にある石油タンカーの封鎖を命じたことから、ベネズエラの民間部門への外貨流入は現金と暗号資産(仮想通貨)の両方で今後数週間に減少する可能性があり、同国のインフレ上昇につながる見通しだと、アナリストらはみている。
トランプ米大統領は16日、ベネズエラに出入港する全ての制裁対象の石油タンカーについて「封鎖」を命じると発表した。米政権はベネズエラの主要な収入源を標的にし、マドゥロ政権に圧力をかけている。
米国の制裁により、ベネズエラ国内で海外から原料を購入しようとする企業は、中央銀行が運営する取引所で、石油貿易や海外でのカード決済によって得られるドルと現地通貨ボリバルを交換することが義務付けられている。しかし、アナリストらによると、原油輸送を巡る不確実性が石油収入に打撃を与え、企業が輸入に利用できる現金や暗号資産の供給が減少するという。
エコノミストのアレハンドロ・グリサンティ氏は「これは米国による最も強力な措置の一つになる可能性がある」と語った。
金融業界の関係者によると、ドルと暗号資産の供給量は15日時点で、前週より6%減少した。
アナリストによると、公式為替レートは毎日約1%下落しており、消費者は食料品や医薬品などの必需品への支出増を余儀なくされている。また、以前は外貨で支払われていた労働者のボーナスの一部は現在、為替レートに連動するボリバルで支払われている。
JPモルガンは17日付のリポートで、「国内経済が輸入品に依存していることを考えると、為替の下落は急速にインフレに波及する」と述べ、同国の今年のインフレ率が約420%になると予想した。
国際通貨基金(IMF)は、ベネズエラの年間インフレ率が年末までに548%に達する可能性があると推定している。
ベネズエラ中央銀行は昨年10月以降、物価指標を公表していない。





