インドの対米輸出、11月に急増 貿易交渉妥結の圧力和らぐ
11月のインドの米国向け輸出が、トランプ米大統領の関税措置をものともせずに急増した。これによりインドは、対米貿易交渉の早期妥結を求める圧力を和らげる力を新たに得た形だ。写真はインド・ノイダの衣料品製造工場。8月撮影(2025年 ロイター/Adnan Abidi)
Manoj Kumar Shivangi Acharya
[ニューデリー 16日 ロイター] - 11月のインドの米国向け輸出が、トランプ米大統領の関税措置をものともせずに急増した。これによりインドは、対米貿易交渉の早期妥結を求める圧力を和らげる力を新たに得た形だ。
インド政府が15日に発表した11月の対米輸出額は前年同月比22%超増加し、輸出全体の伸び(19%超)を上回った。トランプ米大統領は8月にインドからの輸入品に課す関税率を世界最高水準の50%に引き上げたが、高関税による輸出低迷長期化への警戒感はこれで後退した。対米輸出は9月に過去最低まで落ち込み、10月には前年同期比約9%減少していた。
複数のアナリストは、11月の対米輸出回復が国内経済の堅調と重なったことで、インドが対米貿易交渉で譲歩を急ぐ必要性は低下していると指摘。グローバル・トレード・リサーチ・イニシアチブの創業者であるアジャイ・スリバスタバ氏は「インドはロシア産原油輸入の大幅削減に続き、50%から25%への関税引き下げを求める交渉力を得た」と分析した。
エムケイ・グローバルのエコノミスト、マダビ・アローラ氏によると、対米輸出は関税措置の対象外である電子機器などがけん引している。また、高関税の対象となった分野の輸出は予想より好調で、新たな市場の開拓が要因とみられるという。
通貨ルピーが今年に入ってから対ドルで約6%下落している状況も、関税措置による打撃を和らげている。 こうした状況を背景に、インド政府当局者は対米貿易交渉で米国側の要求に強硬姿勢を維持している。ある政府高官は、米国が求めるトウモロコシや遺伝子組み換え作物などの輸入拡大を受け入れる意向はないと明言した。





