米、英との技術協定を一時停止 英デジタル規制など懸念
写真は米英の国旗。7月28日、英スコットランドのターンベリーで撮影。Reuters/Evelyn Hockstein
Alistair Smout
[15日 ロイター] - 米、英とのAIなど技術協定の実施を先送り=当局者
[15日 ロイター]
米国が英国と9月に結んだ技術協定の実施を先送りしていることを米当局者が明らかにした。この協定は人工知能(AI)や量子コンピューティング、民生用原子力エネルギーを対象とした「技術繁栄協定」で、米マイクロソフト、グーグル、エヌビディア、オープンAIなどが英国に総額400億ドル規模を投資することを約束した。
当局者は遅延の理由について、英国のデジタル規制と食品基準に対する姿勢への懸念のためだと説明した。英当局者も16日、米国との技術協定の導入を一時停止していることを認めた。
技術繁栄協定は、トランプ米大統領が英国を公式訪問した際に合意された。実施の遅延を最初に報じた米紙ニューヨーク・タイムズは遅延の背景について、米当局者が英国のオンライン安全法、デジタルサービス税、食品安全規制に対して不満を抱いていると指摘していた。
ホワイトハウスはロイターのコメント要請に回答していない。
トランプ氏が輸入関税強化を打ち出した後の5月、英国は米国の関税引き下げに原則合意した最初の国となった。しかし、遅々として実施にこぎ着けられず、鉄鋼などの分野の協議も行き詰まっている。
スターマー英首相の報道官は記者団に米国との交渉について、両国とも明らかに自国にとって最善のものを望み、活発な対話を続けているとし、交渉で各国が自国の利益を優先するのは「当然かつ正常なことだ」と主張。その上で「この交渉は単純なものではない。複雑であり、合意には時間がかかる」と指摘した。
一方、米英両国は今月1日、医薬品と医療技術への関税をゼロにする合意を締結したと発表した。





