アングル:FRBの新予測、中間選挙で政権後押しへ 利下げには慎重か
写真は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長。10日撮影。REUTERS/Kevin Lamarque
Howard Schneider
[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)はトランプ大統領が望む全ての利下げを行うわけではないかもしれないが、成長拡大、インフレ低下、失業率安定という新たな経済見通しは2026年の中間選挙に向けて政権を後押しするだろう。
政策立案者は米国が関税や移民を巡る不安定な動乱の時期から脱し、力強い生産性と個人消費、そして関税による物価への影響が薄れ始めるにつれてインフレが低下する年になると予想している。
<2026年は堅調な年に>
パウエル議長は10日の記者会見で「私は経済が本当に良い状態にある中でこの仕事を後任に引き継ぎたい」と発言。「インフレを抑制し、2%まで低下させたいほか、労働市場が強固であることを望んでいる」と述べた。
見通しによると、政策立案者19人のうち、来年1回の利下げを予想したのはわずか4人にとどまり、別の4人は2回の利下げ、さらに別の4人は2回以上の利下げが行われると予想した。残り7人は来年の利下げを見込んでおらず、このうち3人は来年末の金利が現行水準よりも上昇するとの見方を示した。
インフレと労働市場のどちらにより大きなリスクがあるかを巡るこうした意見相違にもかかわらず、FRBは総じて堅調な年を見込んでいる。
米国にとって「ソフトランディング(軟着陸)」に相当する広範な改善を見込んでおり、一部のアナリストが「スタグフレーション・ライト」と呼ぶ、高失業率と高インフレを伴う経済への懸念は和らいでいる。
<生産性向上>
FRBの最新予測では、インフレ率が26年末までに約2.4%に鈍化するとの見通しが示されたほか、経済成長率はトレンドを上回る2.3%に加速し、失業率は4.4%と緩やかな水準にとどまるとの予想が示された。
パウエル氏によると、このような状況を支えているのはAI(人工知能)の導入に伴って加速する生産性の上昇だ。生産性の向上は同氏の後任の最有力候補と目されているハセット国家経済会議(NEC)委員長を含む政権高官が利下げを求める要因となっている。
FRBの政策立案者が「霧」の中を運転しているのではないかという懸念は薄れている。特にインフレに関する予測の不確実性は以前より和らいでおり、雇用とインフレの両方に対するリスクはここ数四半期で全般的に下がっている。





