英、EU防衛プロジェクト参加交渉が決裂 第三国ルールで折り合わず
写真はスターマー英首相。ベルファストで2024年7月代表撮影。REUTERS
Alistair Smout Andrew Gray
[ロンドン/ブリュッセル 28日 ロイター] - 英政府は28日、欧州連合(EU)の防衛プロジェクト「欧州安全保障行動(SAFE)」への参加交渉が決裂したと発表した。防衛力強化を目指す英国は、SAFEへの参加を、離脱したEUとの関係を再構築する取り組みとしていた。
SAFEは1500億ユーロ(約1730億ドル)規模の基金で、欧州の軍備増強に向けた兵器購入の資金を提供する。スターマー英首相は5月、SAFEへの参加交渉を進めると表明し、英国とEUの関係で「新時代」を築くと訴えていた。しかし、交渉締結期限となる11月末を2日後に控え、合意に達することができなかったと表明した。
英国のニック・トーマスシモンズEU担当相は「英国がSAFEの第1段階に参加する協議をまとめられなかったことは残念だが、英国の防衛産業は第三国としての条件を通じてSAFEに参加することは引き続き可能だ」と述べた。また、英国が「交渉を誠実に進めたものの、国益にかなう費用対効果の高い協定にのみ署名するというわが国の立場は常に明確だった」と説明した。
SAFEは兵器の調達契約で、部品コストについてEU加盟国およびウクライナ以外の第三国由来の比率を35%に制限(35%ルール)している。
交渉では、英国が、事実上、自国を特別扱いする形で35%ルールを50%に上げるよう要求した。EUは交換条件としてSAFE参加にあたり数十億ユーロの拠出を英国に要求したため交渉が行き詰まった。





