アングル:米自動車業界、関税の販売価格転嫁もはや不可避か

米国の自動車業界は今のところ、トランプ大統領による関税措置で発生した数十億ドルの追加費用を吸収し、消費者は「値上げショック」を免れている。写真は、米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の車が並ぶ販売店。2021年11月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)
Nora Eckert
[デトロイト 18日 ロイター] - 米国の自動車業界は今のところ、トランプ大統領による関税措置で発生した数十億ドルの追加費用を吸収し、消費者は「値上げショック」を免れている。
業界幹部やアナリストの予想に基づくと、現時点で自動車販売価格はもっと上がっているはずだったが、それは現実になっていない。背景には他の業界と同じく、企業が消費者に負担を転嫁せず、自らが背負うと決断してきた事情がある。
大手自動車情報サイトのエドマンズによると、米国における新車の平均メーカー希望小売価格は3月半ばから8月半ばまでに1%弱しか上昇していない。
値上げに対するメーカーの慎重な態度は秋に入っても続き、各ブランドで投入されつつある2026年モデルも値上げ幅は小さくなっている。コックス・オートモーティブがまとめた8月の平均価格上昇率は3.3パーセントと、昨年のペースを上回ったとはいえ、依然として過去平均の範囲内だった。
しかしアナリストや販売店に話を聞くと、多くの関税措置が長期化の様相を呈している今、メーカーへの値上げ圧力は強まっている。
ゼネラル・モーターズ(GM)は今年のグロスベースの関税関連コストが最大50億ドル(約7350億円)に上ると予想。フォード・モーターも同コストとして30億ドルという数字を挙げた。
さらにメーカーにはもはや、消費者に負担を転嫁する前にサプライヤーないし販売店にお願いしてコストを吸収してもらう余地がほとんどなくなった。
一方で業界幹部の間には、関税コストを消費者に回すことに慎重な姿勢が広がっている。コロナ禍後に新車と中古車の価格が数年にわたって上昇し、消費者がこれ以上の大幅値上げに耐えられないかもしれないという現実の反映だ。
北米現代自動車のランディ・パーカー最高経営責任者(CEO)は、関税コストが第2・四半期の利益を約6億ドル削った事態においてもなお、ライバルに顧客を奪われないように値上げを踏みとどまっていると明かす。「われわれが優先するのは引き続き手頃な価格を通じた競争力の維持だ」と今月ロイターに語った。
しかし、元GM幹部でコンサルタントのウォーレン・ブラウン氏による分析では、国内と輸入車の全てに関税が適用されたとすれば、6月の車1台当たりの追加コストは2300ドル弱に達したとみられる。
ブラウン氏は、値上げは需要を冷え込ませ、米国全体の販売台数落ち込みにつながるが、それでも各メーカーは年後半に値上げを開始するだろうと述べた。
<緩やかな値上げへ>
自動車の価格比較サービスなどを手がけるカーグルーズの経済・市場情報ディレクター、ケビン・ロバーツ氏も、メーカーは徐々に希望小売価格を引き上げ、同時に利益率の大きい高価格帯の車により多くの資源を投入すると予想する。
すでにフォードのメキシコ生産車や、スバルの一部モデル、あるいはポルシェ、アストン・マーチンといった高級ブランドなどでは値上げが実施されている。
またアナリストや販売店は、各メーカーが関税コストを部分的にこっそりと消費者に転嫁しつつあると指摘する。例えば自動車情報サイトのエドマンズの分析では、購入者が負担する「デスティネーション・フィー(車両を工場や港から販売店まで配送する費用)」は25年モデルで8.5パーセント上昇して1507ドルと、過去10年の前年比上昇率よりずっと大きくなった。
大手自動車販売チェーン、オートネーションのマイク・マンリー最高経営責任者(CEO)は7月の決算発表時の電話会議で、各メーカーは最有力モデルでは競争的な価格を維持しつつ、全車種を通じては次第に小幅の価格調整に動くとの見通しを示した。
米中西部のある販売店グループの幹部も、メーカーは急速な値上げで競合相手に顧客を取られたくはないと説明。競争が非常に激しい現在の環境で彼らにとって市場シェアの意味合いはとても大きく、値上げは極めて緩やかに進むだろうと述べた。
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