アングル:アジア詐欺組織、チャットGPTで「米国人になりすまし」 自然な会話で被害者の信頼獲得

ケニア在住のダンカン・オキンドさん(26、写真)は昨年、タイでのカスタマーサービスの仕事をあっせんされ現地に渡った。だが実際には、ミャンマーとタイとの国境付近の犯罪拠点で、犯罪組織が人工知能(AI)を使って大規模詐欺を働く現場を目の当たりにすることとなった。8月28日、ナイロビで撮影(2025年 ロイター/Thomas Mukoya)
Poppy McPherson
[15日 ロイター] - ケニア在住のダンカン・オキンドさん(26)は昨年、タイでのカスタマーサービスの仕事をあっせんされ現地に渡った。だが実際には、ミャンマーとタイとの国境付近の無法地帯にある犯罪拠点に4カ月拘束され、犯罪組織が人工知能(AI)を使って大規模詐欺を働く現場を目の当たりにすることとなった。
家族を養うための仕事を見つけるのに苦労していたオキンドさんにとって、海外渡航は初めての経験だった。
タイの空港に到着するとすぐ、武装警備が敷かれ「戦争用に設計されたかのような」、KKパークと呼ばれる詐欺拠点に連れ去られた。ここは地域の典型的な犯罪拠点で、中国系ギャングが運営し、世界中の人々を標的とする構造になっていた。
連れて来られたオキンドさんら数百人は大部屋で、多くは対話型AI「チャットGPT」の無料版を使用し、米国人をだまして虚偽の仮想通貨投資を行うよう仕向けるメッセージを作成していたという。このような手口は、豚を太らせてから食用にするという意味の「ピッグバッチャリング」と呼ばれ、被害者からの信頼を巧みに積み上げた上で金銭をだまし取るやり方だ。
ロイターはオキンドさんの証言を全て独自に検証したわけではないが、拘束されたケニア人の救出に関わった人身売買撲滅団体「HAARTケニア」の担当者は、オキンドさんが今年初めに詐欺拠点から解放された複数のケニア人に含まれていたことを確認している。オキンドさんの話の概要は、強制労働をさせられていた十数人の証言とも一致している。
<詐欺は米国不動産業者を標的に>
オキンドさんが関与を強いられた投資詐欺は米国の不動産業者を狙ったもので、Zillow.comなどの不動産広告サイトで「顧客」と呼ばれるターゲットを物色していたという。彼は富裕層投資家を装い、毎週何十人もの業者に接触していた。Zillowはコメントを控えた。
チャットGPTのサービスを手がける米オープンAIは「詐欺利用を積極的に特定・阻止する取り組みを行っている」と主張。同社の詐欺防止規定に違反する生成要求については拒否していると強調した上で、調査担当者が不正利用者を監視しアクセスを遮断していると説明した。オキンドさんの証言に関してはコメントを控えた。
詐欺集団の幹部からオキンドさんに課された目標は、毎日少なくとも2人の不動産業者を架空投資へと誘い込み、常に10人以上の「顧客」とやり取りすることだった。被害者からだまし取った金は最終的に、組織の懐に入った。
オキンドさんによれば、チャットGPTは詐欺集団で最も多用されるAIツールで、これを使用すれば被害者とのやり取りにおいてすんなり米国人になりすまし、いかにも米国人らしい言い回しをすることができたという。彼はテキサスの牧場主やアラバマの大豆生産者を演じ、仮想通貨投資で大金を得たと被害者に信じ込ませた。
「相手に親近感を抱かせなければだめだ。ほんの一瞬でも不自然さを見せれば、すぐに詐欺だと気取られてしまう」とオキンドさんは打ち明ける。
「顧客」からの質問に即座に答える際もチャットGPTの出番だった。暗号資産や米国各地の住宅市場について質問された際には、その質問をコピーしてチャットボットに貼りつけ、信頼できる回答を生成させたという。
幹部は、物件や暗号資産についていつ話すかなど、毎日の進行手順を1週間にわたり詳細に記したマニュアルを用意した。暗号資産は移動が簡単で、信頼性の低い取引所を通じて現金化しやすいため、詐欺師が好んで利用することが多い。
<ロマンス詐欺でも活用>
投資詐欺の基本的な手口はこうだ。被害者に暗号資産の口座を開設させ、現金を入金させる。表向きは普通の取引プラットフォームに見えるが、実は犯罪集団の口座だ。オキンドさんはチャットGPTを使って臨機応変に新たな手法を編み出した。一度被害にあった人が再びだまされるほど巧妙だったという。
幹部は大きな成果をあげた人に対しては太鼓を打ち鳴らして祝った一方、「目標」を達成できなかった人には屈辱的な扱いや暴行、棒による電気ショックを与えて見せしめとした。オキンドさんは尊厳を「粉々にされた」という。
4月、タイ政府がKKパークなど詐欺拠点への電力供給を遮断し、拘束された人々の一部解放を強制したことで、オキンドさんはここから出ることができた。帰国後も東南アジアのカルテル関係者とみられる地元住民から脅迫電話を受け、経済的困難や偏見に悩まされているという。
ロイターはほかにミャンマー人2人にも取材し、両者ともチャットGPTを他の詐欺拠点で使用したと語った。
うち1人は2022年に詐欺に関与することを強制された。この年にチャットGPTの初期モデルが公開されたことで、詐欺の手口は一変したという。
この人物はいわゆるロマンス詐欺を専門とし、被害者を誘惑して金をだまし取っていた。チャットGPTに生成させた詩や軽妙なメッセージで、多数のターゲットに同時に接触できた。AIに作らせた説得力ある文章により、被害者は「私たちをいっそう信頼した」という。
「AIと組むことで、犯罪の効率は格段に上がった」とその人物は語った。
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