アングル:仏新首相、富裕税が政権の命運左右 2026年予算で

フランスのルコルニュ新首相にとって、超富裕層への課税方法は政権の命運を左右しかねない問題だ。9月3日、パリで撮影(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
Leigh Thomas
[パリ 17日 ロイター] - フランスのルコルニュ新首相にとって、超富裕層への課税方法は政権の命運を左右しかねない問題だ。
左派の社会党は、新首相の少数派政権を支持する見返りとして、2026年予算で国民の0.01%に相当する超富裕層に2%の富裕税を課すよう要求。富裕税は国民から圧倒的な支持を得ている一方、ルコルニュ氏と近い右派に加え、野党を敵に回す可能性がある。新政権の存亡は、そうした税の行方にかかっている状態だ。
マクロン大統領側近のルコルニュ氏は先週、過去2年足らずで5人目の首相に就任。10月7日までに議会に送る予算案の策定を急いでいる。
この富裕税は、考案した経済学者ガブリエル・ズックマン氏にちなんで「ズックマン税」と呼ばれ、導入されれば所得格差に対するフランスのアプローチを再構築することになる。ただでさえ国内総生産(GDP)に占める税負担が欧州最大のフランスから、資金が逃げ出すとの不安が再燃する可能性もある。
<有権者は富裕税を支持>
ズックマン氏は、欧州全体で同様の議論が巻き起こることに期待を寄せる。
同氏はロイターのインタビューで、多くの国々で最富裕層は大半の市民よりも少ない所得税を払っているが、フランスでは特にその差が大きいと指摘。「第一に、フランスの億万長者は実質的に所得税を支払っていない。第二に、過去15年間で彼らの資産は特に急速に増加した」と語った。
ズックマン氏の試算では、資産1億ユーロ(1億1800万ドル)を超える富裕層に2%課税した場合に影響を受けるのはわずか1800世帯だが、年間最大200億ユーロの税収を生み、フランスの財政赤字削減に役立つ。同国の財政赤字の対GDP比率は現在、推計5.4%とユーロ圏で最高だ。
一方、主要経済学者7人のグループは仏紙ルモンドに寄稿し、税収は50億ユーロ程度に留まり、富裕層の国外流出を招く可能性があると指摘した。
今月、社会党の委託でイフォップが実施した世論調査によると、ズックマン税への支持率は86%で、マクロン大統領率いる与党の支持層では92%に達した。
議会では左派政党が富裕税を広く支持しており、2月に下院で可決されたが、上院で否決された。
ルコルニュ氏は社会党を敵に回すわけにはいかないため、富裕税は2026年予算で可決される可能性が高まっている。
ルコルニュ氏は富裕税導入の議論に応じる姿勢を示しつつも、不動産や金融資産だけでなく事業主の資産も対象に含めれば、雇用を創出する人々に不利益をもたらしかねないと懸念している。
雇用者連盟(MEDEF)のパトリック・マルタン会長は、事業資産に課税すれば投資意欲を損なうと警告し、こうした資産は前回の富裕税の対象から除外されていたと指摘した。
フランスでは以前、資産130万ユーロ超の富裕層全般に最大1.5%の税が課されていた。しかしマクロン氏は2017年の大統領選で勝利した後、不動産のみを対象とする税制に変更し、今なお「富裕層の大統領」との批判を受けている。
<スタートアップに配慮も>
ズックマン税は、革新的なスタートアップ企業の投資を減退させかねないとの批判がある。例えば、生成人工知能(AI)の米オープンAIなどに対抗できる企業として欧州で最も期待の高い仏ミストラルAIのようなスタートアップだ。
ミストラルAIのアーサー・メンシュCEOは、フランスにはより公平な税制が必要だが、競争力を維持することも重要だと指摘。テレビ番組で「(富の)再分配の必要性とイノベーションの間には常に緊張関係がある」と語り、個人的には富裕税を支払う余裕はないと言い添えた。
スタートアップは黒字化に数年を要することが多く、創業者は納税のために株式売却を迫られる可能性がある。
社会党もこうした懸念については交渉の余地があるとしている。ただし、高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)ベルナール・アルノー会長のような億万長者を富裕税の対象から外すわけにはいかないという姿勢だ。
社会党の議員はラジオ番組で、企業が5年連続で黒字になるまで富裕税を免除する案を示した。
<憲法上のハードルも>
ズックマン氏は免除を一切認めるべきでないと主張し、現時点で企業価値が117億ユーロに上るミストラルAIのような企業の所有者は、現金がなければ株式で納税できるはずだとしている。
そうした条項が盛り込まれないとしても、法律専門家は富裕税が憲法違反に当たる可能性を指摘し、「没収的」措置や、特定のグループを標的にした課税を違憲とした判例や法解釈を挙げている。
しかしズックマン氏は、支払い能力に比例する公平な税負担をうたった1789年の「人間と市民の権利の宣言」に、現状は違反していると反論。富裕税は「税制を『課税における平等』という憲法の基本原則に合わせるという、単純な問題だ」と語った。
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