石破首相が辞任表明、米大統領令「一つの区切り」 総裁選出馬せず

9月7日、石破茂首相(写真)は午後に記者会見し、辞任する意向を正式に表明した。自民党本部で7月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Yoshifumi Takemoto Kentaro Sugiyama
[東京 7日 ロイター] - 石破茂首相(自民党総裁)は7日夕、記者会見し、辞任する意向を正式に表明した。日米関税交渉で関税引き下げが明記された米大統領令が発出され、一つの区切りがついたと説明。新総裁を選出する総裁選には出馬せず、後進に道を譲る。
石破首相は会見冒頭、自民党総裁を辞任すると表明。米国の関税措置に関する交渉に一つの区切りがついた今こそ、参院選の敗戦の責任をとるしかるべきタイミングだと考えたと述べた。新たな総裁が選ばれるまで、果たすべき責任を果たし、新総裁にその先を託すと語った。
日米の関税交渉を巡っては5日に日米で覚書の署名が行われ、トランプ米大統領が大統領令を発出した。石破首相は交渉を担当した赤沢亮正経済再生相から直接報告を受け、「私としても一つの区切りがついたと感じることができた」と語った。
7月の参院選での大敗直後に辞職すべきでなかったか、との質問に対しては、日米関税交渉を理由に挙げ「辞める政権とは誰も交渉しない」とし、国益の観点から早期辞職意向は公にできなかったとの考えを示した。
石破首相は、この後に行われる総裁選には出馬しないと明言。政治とカネの問題をはじめ、国民の政治に対する不信をいまだに払拭できていないことは「私にとって最大の心残りだ」と語った。
また「われわれ自民党が信頼を失うことになれば、日本の政治が安易なポピュリズムに堕することになってしまうのではないか、その危惧を私は強めている」と述べた。
自民党は8日に、臨時総裁選の実施要求数を確認し、党所属国会議員と都道府県支部連合会の代表者の総数の過半数から要求があれば総裁選を実施することになっていた。首相は、これが実施される方向に進めば「党内に決定的な分断を生みかねないと考えた」と述べた。
6日夜に菅義偉元首相、小泉進次郎農相と会談した内容については明らかにしなかったが、菅氏が「党の分断はあってはならないと非常に強くおっしゃっていた」と指摘。総裁選の前倒し判断を記名投票とすることで党が2分される可能性を石破氏も共有した可能性を示唆した。
首相の辞任表明により、臨時総裁選をめぐる意思確認などは行われない。