マクロスコープ:「資産運用立国」目指し金融庁が組織改編へ、NISA商品拡充も

金融庁が組織再編に動き始めた。写真は金融庁が入る中央合同庁舎7号館。2009年7月、東京で撮影(2025年 ロイター)
Tamiyuki Kihara
[東京 25日 ロイター] - 金融庁が組織再編に動き始めた。現在の総合政策局と監督局の担当業務を整理し、銀行・証券・保険・資産運用を4本柱とする組織に改める。「資産運用立国」に向けた取り組みの強化が狙いだ。来年度税制改正要望には、NISA(少額投資非課税制度)の対象商品拡充なども盛り込む。
金融庁幹部は「組織再編は庁の『本気度』の表れだ」と話した。近く与党に諮る考えだ。
ロイターが金融庁の資料を確認した。組織再編では現在の総合政策局と監督局を、それぞれ「資産運用・保険監督局(仮称)」と「銀行・証券監督局(同)」に改める。人事などを担う官房担当の「政策統括官」も新設する。機構・定員要求に盛り込み、2026年夏の実現を目指す。
再編の最も大きな目的は、資産運用の担当部門を「局」に昇格させることだ。岸田文雄前政権が掲げた「資産運用立国」実現に向け、金融庁は「資産運用課」を創設するなど体制整備を進めてきた。
ただ、名称に「資産運用」と付く部門が分散するなど、部門の整備・強化が一つの課題となっていた。今回、資産運用を銀行・証券・保険と並列で「局」として位置付けることで、対外的に取り組み強化をアピールしたい思惑もある。
一方、NISAの普及拡大を目指す取り組みも強化する。若年層向けには、現在18歳以上とされている口座開設の対象年齢を、「つみたて投資枠」では撤廃することも検討する。高齢者に対しては、債券投資に特化した対象商品の拡充なども目指す。
現預金は家計金融資産の半分以上を占めるとされる。政府はこうした資金が投資に回ることで、企業価値の向上と家計の利益につながる「成長と分配の好循環」を思い描く。
(鬼原民幸 編集:橋本浩)