米上院議員、人権や台湾問題で中国への圧力強化の3法案計画

米与党共和党と野党民主党の上院議員は今週、中国の少数民族、反体制派、台湾を巡る対応について、安全保障と人権に力点を置いた3つの対中法案の提出を計画している。写真はトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が握手する場面。北京の人民大会堂で2017年11月撮影(2025年 ロイター/Damir Sagolj)
Patricia Zengerle
[ワシントン 28日 ロイター] - 米与党共和党と野党民主党の上院議員は今週、中国の少数民族、反体制派、台湾を巡る対応について、安全保障と人権に力点を置いた3つの対中法案の提出を計画している。
ロイターが法案提出前に入手した法案は、いずれも民主党と共和党の議員が共同提出者として名を連ね、米政界の激しい党派対立とは異なる動きとなった。対中強硬路線の追求は長年分断された上院でも数少ない超党派の共通認識の1つであり、多くの議員がトランプ氏の2国間貿易関係の再均衡を目指す努力を支持している。
トランプ米大統領の取り組みは米上院、特に共和党内で強い支持を得ているが、一部の対中強硬派は米政府が安全保障問題を軽視しているのではないかと懸念している。
米ドイツ・マーシャル基金のアジア専門家ボニー・グレイサー氏は「トランプ氏は中国とある種の合意を望んでいるように見える。彼の中国に対する姿勢と政権内の一部メンバーや、中国にかなり強硬な議会の姿勢の間にギャップが生じている」と述べた。
オレゴン州選出の民主党議員ジェフ・マークリー氏は「米国は中国の世界に対する攻撃的な態度に弱腰であってはいけない」とし、3つの法案全ての主要提出者となった。
マークリー氏は声明で「自由と人権という米国の価値観は、わが国の国際舞台での指導的地位を導く明確で原則的な認識の中心であり続けなければならない」と述べた。
ホワイトハウスのケリー副報道官はコメント要請に対して、政権関係者はこれから審議入りする法案について、大統領の意向を先回りして発言することはないと述べた。「トランプ氏は中国と建設的な関係を築くことを望んでいると公に述べている」と電子メールで回答した。
中国外務省はこうした法案に関するロイターの問い合わせにすぐに回答しなかった。
テキサス州選出の共和党のジョン・コーニン議員が共同提出する法案の1つは、中国政府の現職または元職の当局者で、ウイグル族の強制送還に関与したとされる人物の米国入国を禁止する内容だ。
人権団体は中国が新疆ウイグル自治区に住む約1000万人の主にイスラム教徒のウイグル族に広範な人権侵害をしていると非難する。中国政府はこうした非難を否定している。
ユタ州選出の共和党のジョン・カーティス議員が共同提出する別の法案は、台湾支援を目的としており、台湾と公式な外交関係を維持する中南米・カリブ諸国を支援し、台湾と連携を深める措置を取る内容となっている。
中国は民主的に統治されている台湾を自国の領土と主張しており、武力を行使した統一の可能性を否定していない。中国はここ数年間、台湾に軍事的・政治的圧力を強めている。
アラスカ州選出の共和党のダン・サリバン上院議員が共同提出する3つ目の法案は、「越境弾圧」に対抗することを目的とする。越境弾圧は外国政府が自国の国境を越えて反体制派、ジャーナリスト、活動家に脅迫、嫌がらせ、危害を加える行為を指している。