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EXCLUSIVE-米支援の団体名義でガザ住民向け「人道施設」建設の提案、米政権に

2025年07月08日(火)02時55分

米国が支援しイスラエル主導でパレスチナ自治区ガザの援助配給を担う民間団体「ガザ人道財団(GHF)」名義で、ガザ住民が居住する「大規模な人道トランジット区域(HTA)」建設する提案が米政権に示されていたことが分かった。写真はパレスチナ自治区ガザ南部で6月5日撮影(2025年 ロイター)

[7日 ロイター] - 米国が支援しイスラエル主導でパレスチナ自治区ガザの援助配給を担う民間団体「ガザ人道財団(GHF)」名義で、ガザ住民が居住する「大規模な人道トランジット区域(HTA)」建設する提案が米政権に示されていたことが分かった。

この提案では、パレスチナ住民を収容するためにガザ地区内または区外に大規模キャンプを建設する計画が記されており、「ガザでのパレスチナのイスラム組織ハマス支配を置き換える」という構想が概説されている。

20億ドル規模の予算を必要とする「大規模」かつ「自主的」な施設で、ガザの住民が一時的に居住し、再建もしくは移住するための準備をする場所だと説明されている。

関係者によると、提案は今年に入ってエルサレムの米大使館に提出されたスライドに記されていた。資料には、事業開始から90日以内に2160人が居住する1施設を開設すると記載。関係者は、提案の検討は昨年から始まり、合計8つの施設が構想されたとしている。

ただ、GHFはロイターに対して、ガザでの食料配給に専念しているとし、提案書の提出を否定した。ロイターは、進捗状況や、現在も検討されているかどうかなどについて確認できなかった。

トランプ米大統領は2月、ガザからパレスチナ住民を他の地域に移住させた上で米国が再開発して「中東のリビエラ」に変える構想を示し、パレスチナ人などから多くの反発を招いた。人道関連の専門家らは、GHFが多数の住民を施設に移すという提案をしたとすれば、懸念をさらに深めるだけだと指摘した。

米国務省は6月、GHFへの3000万ドルの資金援助を承認したものの、米政府高官は、HTAに関する計画は検討されておらず、資金も割り当てられていないと述べた。関係者は、資金不足のため計画が進展していないと述べた。ロイターは以前、GHFが資金集めのためスイスの銀行口座開設を試みたが、UBSとゴールドマン・サックスは協力しなかったと報じた。

米紙ワシントン・ポストは5月に、GHFがパレスチナ非戦闘員向けの住宅複合施設を建設する計画を伝えていた。 

ロイター
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