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中国東部の経済中心地帯で猛暑、農業と製造業に損失懸念

2025年07月04日(金)12時35分

[北京 4日 ロイター] - 中国の東海岸は4日、うだるような暑さに包まれた。高気圧が中国で最も人口の多い地域に居座って長江沿いの主要な農業地域と製造拠点が猛暑に見舞われ、経済的な損失が生じるかもしれないという懸念が高まっている。

中国経済の中心地の広い範囲が今後1週間にわたって37―39度の高温にさらされる見込みだ。気象予報士は気温が安徽省や浙江省、より内陸部の湖北省や河南省の一部で40度を超える可能性があるだろうと警告している。

この熱波を引き起こしている亜熱帯高気圧は今年、例年に比べて異常に早く到来した。

中国で最も暑い時期とされる「三伏の季節」は2000年以上前から使われていると考えられる農業暦の指標で、通常は7月中旬に始まり8月下旬まで続き、人々は猛烈な夏の熱波を逃れて避暑をする。

気象学者が気候変動と関連付ける極端な高温は中国の政策立案者にとって大きな課題となっている。高温は農地の作物を枯らせて農家の収入を減らすだけでなく、製造拠点に影響を与えて主要な港湾都市の業務を混乱させ、既に負担過剰になった医療体制を圧迫する可能性があるからだ。

中国東部と中部一帯の当局は熱中症の危険性について警告し、通勤時の極端な高温と湿度の組み合わせが熱中症のリスクを高めるとして労働者に対して予防措置を取るよう呼びかけている。

中国は2022年に1961年以来最悪の熱波に見舞われ、多くの地域が6月中旬から8月下旬までの79日間猛暑に耐え続けた。公式な死者数は公表されておらず、中国は熱波が原因となった死者数の統計を発表していないが、国内メディアが時折地方当局筋を引用して死亡事例があったと報じる。

医学誌ランセットで23年に発表された報告書によると、22年の中国の熱波関連の死亡者数は5万0900人と推定されており21年の2倍に達した。

中国東部が猛暑に見舞われる一方で、中国気象局は4日と5日にかけて中国北部と南西部の一部で集中豪雨が予想されると発表し、中国の交流サイト(SNS)で成都市の住民が冠水した道路をカヌーで移動する様子を映した動画が拡散されている。

ロイター
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