EU、中国にレアアース輸出規制解除求める 対ロ支援にも懸念

中国の王毅外相は、「中国は欧州連合(EU)との意思疎通を強化し、次回の中国・EU首脳会談に向け適切な準備を行う意向がある」との考えを示した。写真はEUのコスタ欧州理事会議長と握手を交わす同外相。ベルギーのブリュッセルで2日撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
[ブリュッセル 2日 ロイター] - 欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表は2日、中国の王毅外相に対し、レアアース(希土類)輸出規制の解除を求めた。また、ウクライナ戦争における中国企業の対ロシア支援は欧州の安全保障に深刻な脅威をもたらすと警告した。
ブリュッセルでの両外相の会談後にEUが発表した声明によると、カラス氏は中国に対し、「欧州企業に重大なリスクをもたらし、世界のサプライチェーン(供給網)の信頼性を危険にさらす、レアアース輸出規制を含む歪曲的な慣行」を終わらせるよう求めた。
貿易を巡っては「経済関係の不均衡を是正し、公平な競争条件を確保し、市場アクセスの相互性を改善するための具体的な解決策」を求めた。
また「ロシアの違法な戦争に対する中国企業の支援が欧州の安全保障に与える深刻な脅威」を強調し、「ロシアの軍産複合体を支えるあらゆる物質的支援を直ちに停止」し、「完全かつ無条件の停戦」と「ウクライナにおける公正かつ永続的な平和」を支持するよう求めた。
これに先立ち、中国の王毅外相は「中国はEUとの意思疎通を強化し、次回の中国・EU首脳会談に向け適切な準備を行う意向がある」との考えを示した。中国外務省が2日、王外相の発言として声明で明らかにした。
声明によると、王外相はEUのコスタ欧州理事会議長(大統領)と会談し、双方が互いの核心的利益を尊重し、相互理解を深めるよう呼びかけた。また「一国主義と威圧的行為が国際秩序とルールを深刻に損なっている」との見方を示した。
両氏はウクライナ危機についても協議し、王氏は和平交渉と紛争の政治的解決を推進するという中国の立場を改めて強調した。
EU当局者はカラス氏と王氏の会談で中国側に対し、イラン産原油の主要な買い手としての影響力を行使してイランに核開発計画を巡る合意を求め、中東の緊張緩和を図るよう促す方針としていた。
EUの声明はこうした取り組みが成果を上げたかどうかについて言及していない。
コスタ氏とフォンデアライエン欧州委員長は24─25日に中国を訪問し、習近平国家主席と李強首相と会談する。