太平洋諸島首脳、共同安全保障戦略の採択見送り
[シドニー 26日 ロイター] - ソロモン諸島、パプアニューギニア、バヌアツ、フィジーの4カ国が参加する「メラネシア・スピアヘッド・グループ(MSG)」はフィジーで23日開催された首脳会議で、中国にとって進出の機会を与える可能性がある共同安全保障戦略の採択を見送った。
中国とオーストラリア、米国の間で太平洋地域に対する影響力を巡る競争が激しくなる中、4カ国は海洋安全保障に特化する初の共同安全保障の枠組みについて交渉していた。
パプアニューギニアのトカチェンコ外相は26日ロイターに、安全保障戦略で4カ国がまだ合意できていないとして「台湾問題やその他の事柄を巡る議論や加盟国の立場の違いをどう調整するかが難しい」と述べた。
MSGを巡っては、バヌアツにある本部の建設資金を提供した中国が取り入ろうとしている。MSGは以前、中国を安全保障パートナーとして検討すると表明したことがある。
18カ国が加盟する「太平洋諸島フォーラム」は中国と安全保障関係を結ぶのを拒否し、その代わりに太平洋が地域の安全保障を担うべきだと訴えている。
MSG加盟国のうちソロモン諸島とバヌアツが中国と安全保障協定を締結しており、最も中国に近いとみられる。一方、パプアニューギニアは米国、オーストラリアと安全保障協定を結んでおり、フィジーはオーストラリアと防衛協力関係にある。
<最大の貿易相手国>
オーストラリアのコンロイ太平洋相はフィジーで開かれたMSG首脳会議に今回初めて出席し、中国の周剣フィジー大使と向かい合って着座して議論に参加した。
駐フィジー中国大使館は声明でMSGについて「地域の平和と安定を促進する重要な場だ」と言及した。
コンロイ氏は首脳会議で、オーストラリアは加盟国全てにとって最大の貿易相手国になっていると強調した。
ソロモン諸島のマネレ首相は声明で「地域全体の安定と平和を強化するために加盟国および関係パートナーと協力するという断固たる取り組み」を通じて安全保障戦略に進展があったと述べた。どの国がパートナーなのかは具体的に明かさなかった。
コンロイ氏はテレビインタビューで、オーストラリアが昨年12月、警察力強化を目的に提示した1億豪ドルの支援案に対し、ソロモン諸島はまだ正式に返答していないと語った。
コンロイ氏はオーストラリア放送協会(ABC)に対して「私は中国が太平洋地域の警察活動に関与すべきでないと考えていると明確に伝えた」と話した。ソロモン諸島は安全保障上の空白が生じれば、メラネシア諸国から支援を求める考えだと付け加えた。