米がイラン核施設攻撃、トランプ氏「和平に応じなければ標的拡大」

6月21日、 トランプ米大統領は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」を通じ、米軍がフォルドゥを含むイランの核施設3カ所に対して攻撃を行い、「大成功」だったと表明した。写真は4月、ミズーリ州ホワイトマン米空軍基地を離陸するB2爆撃機。米軍提供(2025年 ロイター)
Phil Stewart Steve Holland
[ワシントン 21日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、米軍がイランの核施設3カ所に対して攻撃を行い、「大成功」だったと表明。イランが和平に応じない場合はさらなる攻撃に直面すると警告した。
トランプ氏はホワイトハウスで演説し、「攻撃は壮大な軍事的成功だった」と評価。「イランの主要な核濃縮施設は完全かつ全面的に消滅した」と述べた。
イランの将来は「平和か悲劇か」のどちらかであり、イランが和平に応じなければ他の目標を「攻撃する」と述べた。
米CBSニュースによると、米国は21日に外交チャンネルを通じてイランに接触し、攻撃は体制転換を意図するものではないと伝えた。
トランプ氏によると、米軍が攻撃した3カ所はナタンズ、イスファハン、フォルドゥ。フォルドゥには6発の地中貫通弾(バンカーバスター)を投下し、他の核施設にはトマホーク巡航ミサイル30発を使用したとFOXニュースに明らかにした。
米政府関係者によると、米軍のB2爆撃機が関与した。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「積んでいた全ての爆弾を主要施設のフォルドゥに投下した」と投稿。「フォルドゥは消滅した」としている。
また「イランは今すぐこの戦争を終わらせることに同意しなければならない」とも強調した。
ロイターとの電話インタビューでは「今夜は素晴らしい成功だった」と指摘。「彼ら(イラン)はすぐに和平に応じるべきであり、さもなければ再び攻撃する」と述べた。
<イラン、フォルドゥ攻撃を確認 「汚染なし」>
タスニム通信はイラン当局者の発言を引用し、フォルドゥ基地の一部が「敵の空爆」による攻撃を受けたことを確認した。しかし、フォルドウ近郊選出議員は、施設は深刻な被害を受けていないとファルス通信に語った。
現地メディアによると、イラン原子力庁は、攻撃後も核施設に放射能汚染の兆候はなく、近隣住民への脅威もないと述べた。
イラン国営放送は、攻撃を受けた3施設について、かなり以前から安全対策を取っていたと伝えた。同放送の副政治部長は「濃縮ウランの備蓄は核施設から移送されており、攻撃された場合に放射線を発生させ、我が国の国民に害を及ぼすような物質はそこには残っていない」と語った。
<イスラエル首相「歴史を変える」と称賛>
ネタニヤフ氏は演説し、トランプ氏が「大胆な決断」を下したと称賛し、「歴史を変える」と述べた。
イスラエルの公共放送KANは同国当局者の話として、米国の攻撃についてイスラエルはワシントンと「完全に連携している」と伝えた。
ホワイトハウス高官によれば、トランプ氏は攻撃後にイスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談した。
国連のグテレス事務総長は、米国によるイラン攻撃を「危険なエスカレーション」と指摘し、「国際的な平和と安全に対する直接的な脅威だ」と表明した。
<米議会の反応分かれる>
今回の攻撃を巡っては米議会の反応は分かれており、憲法違反の指摘も出ている。
上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー委員長(ミシシッピ州選出、共和党)は作戦を称賛する一方、米国は今「非常に深刻な選択を迫られている」とも警告した。
上院外交委員会のジム・リッシュ委員長(アイダホ州選出、共和党)は「この戦争はイスラエルの戦争であり、われわれの戦争ではない。しかし、イスラエルはわれわれの最も強固な同盟国の一角であり、世界のためにイランを武装解除しようとしている」と指摘。「これは永遠の戦争の始まりではない。イランの国土に米国の軍隊が入ることはない」とした。
トーマス・マッシー下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は「これは憲法違反だ」とソーシャルメディアに投稿。同議員は外国に宣戦布告する権限は議会にあることについて言及している。