イスラエル極右2閣僚に制裁、英など5カ国 パレスチナ人権侵害 米は反発

英国は他の4カ国と共に、イスラエルのベングビール国家治安相(左)とスモトリッチ財務相(右)に制裁を科した。写真は2022年11月、イスラエル議会で撮影(2025年 ロイター/Maya Alleruzzo/Pool via REUTERS)
[ロンドン 10日 ロイター] - 英国は他の4カ国と共に、イスラエルのベングビール国家治安相とスモトリッチ財務相に制裁を科した。英外務省が10日、発表した。両氏は極右政党に属し、パレスチナ強硬派として知られる。
英国と共に制裁を科したのはカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー。資産が凍結されるほか、渡航が禁止される。
5カ国は、両氏がヨルダン川西岸のパレスチナ人に対する暴力を繰り返し扇動したと非難している。
ルビオ米国務長官は、この制裁に反発。パレスチナ自治区ガザの停戦、戦争終結、人質帰還に向けた米政府主導の取り組みを前進させるものではないとXに投稿した。
ルビオ氏は「われわれはいかなる同等の考え方も拒否する。真の敵が誰であるかを忘れないようパートナーに注意喚起する」とし、制裁の撤回を求めた。
5カ国外相は共同声明で「ベングビール氏とスモトリッチ氏は過激派の暴力行為とパレスチナ人の人権に対する深刻な侵害を扇動してきた。こうした行動は容認できない」とし、両氏に対する制裁発動に踏み切った理由を説明。
その上で、今回の制裁はヨルダン川西岸のイスラエル人入植者による暴力を阻止することが狙いだが、ガザ情勢と切り離すことはできないとし「必要最低限の援助の拒否を含め、市民の甚大な苦しみに引き続き強い衝撃を受けている」とし「ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人の不法な移送があってはならず、ガザ地区の領土縮小もあってはならない」と述べた。
同時に「イスラエルへのコミットメントに基づくイスラエル国民との強い友情」を維持すると確約し、パレスチナ自治区ガザでの即時停戦のほか、ガザ地区で拘束されている人質の即時解放、人道支援の拡大、イスラエルとパレスチナが国家として共存する「2国家解決」の実現に努めると表明した。
イスラエルのサール外相は閣僚2人に対する制裁発動は「言語道断」と非難。政府は来週初めに特別会議を開き、こうした「容認できない決定」への対応を協議すると述べた。