仏レミー・コアントロー、30年の売上拡大目標撤回 関税など受け

6月4日、コニャック「レミーマルタン」などを手掛ける仏酒類メーカー、レミー・コアントローは、2030年の売上拡大目標を取り下げたと発表した。写真は、同社が製造する酒。2019年2月、フランスのサン・バルテルミー・ダンジュで撮影(2025年 ロイター/Stephane Mahe)
Dominique Vidalon Emma Rumney
[パリ/ロンドン 4日 ロイター] - コニャック「レミーマルタン」などを手掛ける仏酒類メーカー、レミー・コアントローは4日、2030年の売上拡大目標を取り下げたと発表した。関税や低迷を続ける米国販売、不確実性の大きさにより、今期以降の計画が頓挫する可能性があるとしている。
25年3月期のグループ営業利益は、主要市場である米国と中国での販売低迷が響き、30.5%減少。アナリスト予想は31.7%減だった。
同社は「2029─30年の目標を維持するために必要な条件はもはや整っていないと考えている」と説明。フランク・マリリー次期最高経営責任者(CEO)が独自の戦略的ロードマップを打ち出すという。
同社株は取引開始早々に約3%下落した。
売上の70%をコニャックで稼ぎ、そのほとんどが米国と中国が占めるレミー・コアントローは、両国政府が関税を課す中、同業他社以上に苦境に陥っている。
ジェフリーズのアナリストは、目標撤回は驚きではないとしつつ、レミー・コアントローが説明した関税による打撃の程度は市場に織り込まれていなかったと述べた。
レミー・コアントローによれば、潜在的な関税引き上げで緩和措置後の営業利益は6500万ユーロ(7400万ドル)の打撃を受ける可能性がある。現状では、26年3月期の営業利益はオーガニック成長を見込んでいる。
今期の売上高は1桁台半ばの伸び率に回帰する見通し。ただ、24/25年度に急減した影響も大きいという。