オランダ首相が辞意、極右離脱で連立政権崩壊 解散総選挙が濃厚

6月3日、オランダの極右政党、自由党(PVV)のウィルダース党首(写真)は、同党が連立政権から離脱すると表明した。2024年6月、ハーグで撮影(2025年 ロイター/Lewis Macdonald)
Bart H. Meijer
[アムステルダム 3日 ロイター] - オランダのスホーフ首相が3日、辞意を表明した。極右政党、自由党(PVV)のウィルダース党首が連立政権からの離脱を表明したことを受けて政権が崩壊。解散総選挙実施となる見通しが強まった。
ウィルダース氏は、自身の亡命・移民阻止案を受け入れる気が連立パートナーにないと指摘。Xに「われわれの亡命(阻止)計画に署名はない。PVVは連立を離脱する」と投稿した。
突然の離脱表明は昨年7月の発足以来すでに脆弱だった連立政権に終止符を打った。
PVVの閣僚らは辞任し、それ以外の閣僚らは暫定政権として留任することになる。総選挙の実施は10月以降となる見通し。
ラドバウド大学(ナイメーヘン)のヨップ・ファン・リット教授(政治学)は、選挙は10月末か11月に行われる可能性が高いと述べた。たとえ選挙が行われたとしても、政治情勢が分断されているため、新政権の樹立には数カ月かかる可能性がある。
政治不安が増し、北大西洋条約機構(NATO)の新目標を達成するための防衛費増額決定も遅れそうだ。
ポピュリスト政治家のウィルダース氏は直近の選挙で勝利したが、最近の世論調査によると、政権に参加して以来支持を失っていた。
同氏は先週、亡命と移民を完全に停止し、シリア難民を母国に送り返し、亡命者保護施設を閉鎖するという自身の提案を直ちに支持するよう要求していた。
連立パートナーは同氏の案を受け入れず、具体的な提案はPVVに所属する移民担当相次第だとしていた。ウィルダース氏自身は政権に参加していなかった。
連立を組む保守政党VVDのディラン・イェジルゲス党首は「われわれの大陸では戦争が起きている。ウィルダースはこの難題に立ち向かわず、責任を取る気がないことを示している」と語った。