米の鉄鋼・アルミ価格急騰、韓国など関連株下落 関税引き上げ受け

トランプ米大統領が、米国に輸入される鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を4日から50%に引き上げる考えを表明したことを受け、2日の取引で米国の鉄鋼とアルミニウムの価格が急騰した。写真は米鉄鋼最大手ニューコアのアーカンソー州の工場で3月撮影(2025年 ロイター/Karen Pulfer Focht)
[ロンドンソウル/シンガポール 2日 ロイター] - トランプ米大統領が、米国に輸入される鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を4日から50%に引き上げる考えを表明したことを受け、2日の取引で米国の鉄鋼とアルミニウムの価格が急騰した。米鉄鋼メーカーの株価が大きく上昇する一方、韓国など米国以外では株価下落が目立った。
米購買者のアルミ価格プレミアムは54%程度急騰。米熱延鋼板は7.4%上昇した。銅にも高額な関税が課されるとの見方から、銅価格も急上昇した。米銅先物は一時、約2カ月ぶりの高値を付け、ロンドン価格に比べたプレミアムが拡大した。
米国のアルミ生産者らは、輸入の「洪水」が阻止されると関税引き上げを歓迎した。一方、アルミの輸出先を米国に依存するインドなどに影響が出ると懸念されている。
米商務省によると、米国は欧州連合(EU)を除けば鉄鋼製品の世界最大の輸入国で、2024年の輸入量は2620万トン。米鉄鋼協会によると、24年の米国への鉄鋼輸出の上位国は、カナダ、メキシコ、ブラジル、韓国の順となっている。このうち、韓国のポスコや現代製鉄の株価はそれぞれ約3%下落。ベトナムの鉄鋼企業も2.7─3.4%下落した。
このほか、ドイツの鉄鋼団体によると、欧州からの域外への鉄鋼輸出のうち、米国が約5分の1を占める。
一部の専門家は、トランプ氏がこれまで関税政策を相次いで転換していることを踏まえ、関税がこのまま実施されるかどうかには懐疑的な見方もある。ただ、関税動向を巡る不確実性や、金属価格の上昇が産業活動の抑制につながる可能性があるとみている。
鉄鋼とアルミを巡っては、第2次トランプ政権の発足後、品目別関税の第1弾として3月12日に25%の追加関税が発動された。