ブラジル産鶏肉輸入制限、インフレ沈静化の副産物も 鳥インフルで

ブラジルは南部養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、多くの国々がブラジル産鶏肉の輸入を制限したことから、国内で鶏肉の供給がだぶついて価格が沈静化し、政権支持率を圧迫している食品インフレが一服する可能性が出てきた。 写真は20日、サンパウロのマーケットで撮影(2025年 ロイター/Jorge Silva)
Marcela Ayres
[ブラジリア 20日 ロイター] - ブラジルは南部養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、多くの国々がブラジル産鶏肉の輸入を制限したことから、国内で鶏肉の供給がだぶついて価格が沈静化し、政権支持率を圧迫している食品インフレが一服する可能性が出てきた。
ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国で、業界団体ABPAによると国内産鶏肉の約3分の1を輸出してきた。
数十カ国がブラジル産鶏肉の全面的、もしくは部分的な輸入停止に踏み切ったため、輸出業者は急いで出荷先を切り替えている。アナリストによると、一部については新たな外国の買い手が見つかるとしても、国内市場で吸収する分が多くなり、大手生産企業は短期的に供給過剰に直面しそうだ。
諸外国の輸入制限が長期化すれば、供給過剰によって国内価格が押し下げられる可能性がある。コンサルタント会社MBアグロのホセ・カルロス・ハウスクネフト氏は「効果は小幅で短期的だろう」としながらも、「状況が正常化する」と予想した。
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.5%上昇し、最大構成項目である食品価格は同7.8%、そのうち鶏肉と卵は同12.3%もの上昇となった。
食品インフレはルラ政権の人気に打撃となっており、世論調査によると来年の大統領選でルラ氏が再選を果たす確率は下がっている。
ただアナリストの間では、鶏肉価格が生産コストを下回れば企業は生産を絞りそうなため、インフレが落ち着くと予想するのは時期尚早だとの声もある。