ニュース速報
ワールド

ブラジル産鶏肉輸入制限、インフレ沈静化の副産物も 鳥インフルで

2025年05月22日(木)12時54分

 ブラジルは南部養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、多くの国々がブラジル産鶏肉の輸入を制限したことから、国内で鶏肉の供給がだぶついて価格が沈静化し、政権支持率を圧迫している食品インフレが一服する可能性が出てきた。 写真は20日、サンパウロのマーケットで撮影(2025年 ロイター/Jorge Silva)

Marcela Ayres

[ブラジリア 20日 ロイター] - ブラジルは南部養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、多くの国々がブラジル産鶏肉の輸入を制限したことから、国内で鶏肉の供給がだぶついて価格が沈静化し、政権支持率を圧迫している食品インフレが一服する可能性が出てきた。

ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国で、業界団体ABPAによると国内産鶏肉の約3分の1を輸出してきた。

数十カ国がブラジル産鶏肉の全面的、もしくは部分的な輸入停止に踏み切ったため、輸出業者は急いで出荷先を切り替えている。アナリストによると、一部については新たな外国の買い手が見つかるとしても、国内市場で吸収する分が多くなり、大手生産企業は短期的に供給過剰に直面しそうだ。

諸外国の輸入制限が長期化すれば、供給過剰によって国内価格が押し下げられる可能性がある。コンサルタント会社MBアグロのホセ・カルロス・ハウスクネフト氏は「効果は小幅で短期的だろう」としながらも、「状況が正常化する」と予想した。

ブラジル地理統計院(IBGE)によると、4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.5%上昇し、最大構成項目である食品価格は同7.8%、そのうち鶏肉と卵は同12.3%もの上昇となった。

食品インフレはルラ政権の人気に打撃となっており、世論調査によると来年の大統領選でルラ氏が再選を果たす確率は下がっている。

ただアナリストの間では、鶏肉価格が生産コストを下回れば企業は生産を絞りそうなため、インフレが落ち着くと予想するのは時期尚早だとの声もある。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続落、3万7000円割れ 米金利上昇と円

ビジネス

不確実性は十分大きい、しばらくはむやみに動かず=野

ビジネス

午後3時のドルは143円前半へ急反落、日米財務相会

ワールド

米首都で銃撃、イスラエル大使館員2人死亡 容疑者1
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    子育て世帯の年収平均値は、地域によってここまで違う
  • 9
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「自動車の生産台数」が多い…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 5
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 9
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中