ハマス、米国籍人質を解放 イスラエルは停戦否定

パレスチナのイスラム組織ハマスは12日、ガザ地区での戦闘が一時停止したことを受けて、人質になっていたイスラエル系米国人男性のエダン・アレクサンダー氏を解放したと発表した。写真は同氏の故郷ニュージャージー州テナフライで同日撮影(2025年 ロイター/Eduardo Munoz)
Nidal al-Mughrabi James Mackenzie
[12日 ロイター] - イスラム組織ハマスは12日、パレスチナ自治区ガザで人質になっていたイスラエル系米国人男性のエダン・アレクサンダー氏を解放したと発表した。ただ、より広範な停戦や人質解放について合意には至らなかった。
イスラエルのネタニヤフ首相は人質解放を実現させるため、ガザでの作戦を一時停止したが、解放後間もなく攻撃を再開した。
アレクサンダー氏はイスラエル軍の施設で家族と再会後、治療のため病院に搬送された。同氏は生存する最後の米国人人質だった。
ハマスはアレクサンダー氏解放について、今週中東を訪問するトランプ米大統領への親善の証だと主張した。
トランプ氏はこの日、自身のソーシャルメディアに「死亡したと思われていた米国人人質、エダン・アレクサンダーがハマスによって解放される。素晴らしいニュースだ!」と投稿していた。
ネタニヤフ首相はイスラエルによる軍事的圧力とトランプ大統領による政治的圧力の結果、解放が実現したと表明。イスラエル首相府によると、ネタニヤフ氏は12日にトランプ大統領と電話会談を行い、トランプ氏はイスラエルへの支持を表明したという。
ネタニヤフ氏はこれに先立ち、ハマスとの間で停戦や人質交換には同意しておらず、イスラエル系米国人の解放に向けて安全な退避のための措置を講じることにのみ同意したと表明。「イスラエルはいかなる種類の停戦にもコミットしていない」とし、ガザ地区における軍事行動を強化する計画は継続するとも述べた。
カタールとエジプトは、アレクサンダー氏解放は新たな停戦協議に向けた心強い一歩との見方を示した。イスラエル首相府によると、同国は15日に代表団をカタールに派遣し、さらなる人質解放を実現するための新たな提案を協議する。
トランプ大統領は今週の中東歴訪ではイスラエルに立ち寄らない予定だが、イスラエル当局者2人によると、釈放の手配に尽力したトランプ米政権のウィトコフ中東担当特使が12日にイスラエルを訪問するという。