カナダ総選挙、「反トランプ」で与党勝利 カーニー首相続投へ

カナダ総選挙が28日実施され、CTVニュースとCBCによると、与党・自由党が政権維持を確実にした。写真はカーニー首相の支持者ら。オタワで撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)
David Ljunggren Ismail Shakil
[29日 ロイター] - 28日投開票されたカナダ下院(定数343)総選挙は、カーニー首相率いる与党・自由党が第一党となり政権維持を確実にした。関税などで圧力をかけたトランプ米大統領への反発が追い風となった。
選管の開票結果(暫定)によると、自由党の獲得議席数は168、最大野党の保守党は144。
不人気のトルドー前首相の辞任表明後、1月時点で保守党に20ポイントのリードを許していた自由党にとって、目覚ましい逆転劇となった。ただ単独過半数の172議席には届かなかった。
トルドー氏から首相を引き継いだカーニー氏は、カナダ併合論や関税を振りかざすトランプ氏に強硬姿勢で臨むと表明。カナダと英国の中央銀行総裁という経験から、米政権の関税政策などに対処するのに適任だと訴えた。
一方、保守党は生活費高騰や犯罪、住宅危機などを巡る懸念に焦点を当て、9年にわたる自由党政権の交代を目指し健闘したが一歩及ばず、ポワリエーブル党首はカーニー氏に祝意を示し、敗北を認めた。ポワリエーブル氏自身も落選が予想されている。
<今後数カ月が難局>
カーニー首相は勝利演説で「着実な統合進行に基づく米国との古い関係は終わった」と述べた。
「米国を基盤とする開かれた世界貿易システム、第2次世界大戦以来カナダが依拠してきたシステム、完璧ではないものの何十年にもわたって我が国の繁栄に貢献してきたシステムは終わった」とし、「これらは悲劇だが、新たな現実でもある」と述べた。
今後数カ月は困難な時期となり、犠牲も必要になるとの認識を示した。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長とスターマー英首相はカーニー氏に祝意を表明した。
フォンデアライエン氏は、欧州とカナダの絆は一段と強固になっているとし「欧州とカナダ、およびG7の枠内で緊密に協力していくことを楽しみにしている。われわれは共通の民主主義的価値観を守り、多国間主義を推進し、自由で公正な貿易を推進していく」と述べた。
スターマー首相は、カーニー氏の国際問題におけるリーダーシップと、「防衛、安全保障、貿易、投資」に関する緊密な協力の継続に期待していると述べた。
トランプ氏は28日も交流サイト(SNS)への投稿で、カナダは米国の51番目の州になるべきだと改めて主張した。