Steve Holland

[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。当初、ウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だったが、記者団の前でロシアへの対応などを巡り激しい言葉の応酬が相次いだため、ゼレンスキー氏は合意文書に署名せず、トランプ氏の指示でホワイトハウスを後にした。

会談が口論に終わったことで、トランプ氏とゼレンスキー氏の共同記者会見は中止。ゼレンスキー大統領がワシントンのハドソン研究所で行う予定だった講演も中止された。

<激しい口論、トランプ氏「感謝の念がない」>

両首脳は合意文書の署名に関連する行事に先立ち、大統領執務室で会談。ゼレンスキー氏がロシアのプーチン大統領に対するトランプ氏の融和的な姿勢に異議を唱えたのに対し、トランプ氏はウクライナが取引に応じなければ米国の支援を打ち切ると通告するなど、激しい言葉の応酬を繰り広げた。

トランプ氏は会談で、プーチン大統領は「ディール(取引)」を望んでいると強調した上で、ゼレンスキー氏に対し、何百万人もの人の命を賭けて第三次世界大戦でギャンブルをしていると述べた。

さらに記者団の前でゼレンスキー氏に対し、取引に応じなければ米国は支援を打ち切ると通告。「取引に応じなければ、われわれは撤退する。そうなれば、ウクライナだけで戦うことになり、良い結果にはならない」とし、「この合意に署名すれば、あなたの立場は大幅に改善される。しかし全く感謝の念を示していない。率直に言って、そうした態度は良くない」と述べた。

一方、ゼレンスキー氏はプーチン大統領を念頭に、トランプ氏に対し「殺人者に妥協」しないよう要請。バンス副大統領が紛争解決に向けた外交の必要性を説くと、ゼレンスキー氏はプーチン氏は信頼できないと反論、バンス氏がウクライナを訪れたことがないことを指摘し、米国民には何度も感謝を述べていると主張するなど、互いに声を荒げる場面もあった。

ゼレンスキー氏は今回の会談に母国語でない英語で臨み、会談が進むにつれ、トランプ氏とバンス副大統領の発言に押され気味になった。

<会談後>

米当局者によると、ウクライナ側は昼食会をはさんだ協議継続を望んだものの、トランプ氏がホワイトハウス退出を指示したという。

トランプ氏は会談後、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「ゼレンスキー大統領は米国が関与する形での和平には応じる準備ができていない」と投稿。「米国の関与が交渉で自国に大きな優位をもたらすと考えているからだ。私は優位性ではなく、平和を望んでいる。ゼレンスキー氏は大統領執務室で米国に失礼な態度を取った。平和への準備ができた時点で戻ってくれば良い」とした。

また、ホワイトハウスを去る際にはゼレンスキー氏は戦争に負けていることを認識する必要があると記者団に述べた。

ゼレンスキー氏は会談後、「トランプ大統領、米議会、米国民に感謝する。ウクライナは公正で永続的な平和を必要としている。われわれはその実現に向けて取り組んでいる」とXに投稿。

FOXニュースのインタビューで、トランプ氏との関係は修復可能か問われると、「もちろんだ」と答え、「このようなことになって申し訳ない」と述べた。トランプ氏にはもっとウクライナに寄り添ってほしいとも語った。

ホワイトハウス高官はロイターに対し、トランプ氏は現時点で鉱物協定の再検討に関心はないと語った。

<欧州各国はウクライナ支持>

トランプ氏とゼレンスキー氏の対立を受け、欧州からウクライナを支持する声が相次いだ。

欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表は、「自由世界が新たな指導者を必要としていることが明らかになった」とソーシャルメディアに投稿。「ウクライナは欧州の一部だ。われわれはウクライナと共にある」と表明。

フランスのマクロン大統領は「侵略者はロシアだ」と指摘。 スペインのサンチェス首相も「スペインはウクライナと共にある」と述べた。

ドイツ次期首相候補のメルツ氏は「この恐ろしい戦争において、侵略者と被害者を決して混同してはならない」と述べた。

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