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米仏首脳、欧州のウクライナ平和維持部隊派遣など協議 相違も鮮明に

2025年02月25日(火)07時57分

マクロン仏大統領は24日、米首都ワシントンのホワイトハウスを訪問した。同日撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)

Steve Holland Andrea Shalal Michel Rose

[ワシントン 24日 ロイター] - マクロン仏大統領は24日、米首都ワシントンを訪問し、トランプ大統領と会談した。ホワイトハウスで記者団に対し、ロシア・ウクライナ戦争の停戦が実現した場合、欧州は平和維持部隊の派遣を含む安全保障上の保証をウクライナに提供する用意があると表明し、トランプ氏も支持する立場を示した。

ただ、早期の停戦合意を目指すトランプ氏との間で大きな相違があることも鮮明になった。

先週にウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と批判したトランプ氏は、ロシアのプーチン大統領を独裁者と呼ぶことを控えた。マクロン氏はこの紛争でロシアが「侵略者」なのは明白だとし、「プーチン大統領が平和を侵害した」と共同記者会見で述べた。

また、トランプ氏はできるだけ早期の停戦を望む立場を示し、そのために取り組んでいると説明。合意が成立すればモスクワでプーチン氏と会談することも可能だと述べた。

一方、マクロン氏はまず停戦交渉を行い、その後、安全保障に裏付けられた和平合意を結ぶ必要があるとして、より慎重なアプローチを主張。「われわれは平和を望み、彼も平和を望んでいる。われわれは迅速な平和を望んでいるが、弱い合意は望んでいない」と述べた。その上で、いかなる和平合意も「評価、点検、検証」されなければならないと強調した。

和平合意成立後に欧州の平和維持部隊を派遣する構想については両首脳が一致した。

マクロン氏は会談で、部隊の派遣は平和維持が目的になるとし、「部隊は前線には配置されず、いかなる戦闘にも参加しない。平和の順守を確保するためだけに駐留する」と語った。

トランプ氏は欧州の構想に支持を表明し、プーチン氏も受け入れるだろうと指摘。同氏との協議で「具体的に」この構想を提起したとし、「プーチン氏は何の問題もないと言っている」と述べた。

トランプ氏は米国がウクライナに提示している鉱物資源に関する協定について「合意に極めて近い」と述べ、ゼレンスキー氏が合意のため今週か来週に訪米する可能性があるとの見方を示した。

戦争終結に向けた交渉の一環としてウクライナはロシアへの領土割譲を受け入れるべきかとの質問に対しては、交渉はまだ始まったばかりとした上で、「今後の展開を見守りたい」と述べるにとどめた。マクロン氏はいかなる合意にもウクライナの主権が含まれるべきだと述べた。

マクロン氏はロシアによるウクライナ侵攻開始から3年となるのに合わせ開催された主要7カ国(G7)首脳のテレビ会議にトランプ氏と共に参加した。

トランプ氏の2期目就任後、ホワイトハウスを訪問する欧州首脳は初めて。マクロン氏は、トランプ氏の出迎えは「とても友好的だった」とし、「大統領執務室でG7のテレビ会議を行った」と述べた。

スターマー英首相も週内に訪米し、トランプ氏と会談する予定。 

ロイター
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