ニュース速報
ワールド

インドネシア中銀、0.25%利下げ 成長支援へ予想外の緩和再開

2025年01月15日(水)20時09分

 1月15日、インドネシア中央銀行は、予想に反して政策金利を引き下げた。写真は、同行本部で会見を開くワルジヨ総裁(中央)ら。同日、ジャカルタで撮影(2025年 ロイター/Willy Kurniawan)

Gayatri Suroyo Stefanno Sulaiman

[ジャカルタ 15日 ロイター] - インドネシア中央銀行は15日、予想に反して政策金利を引き下げた。通貨ルピア安懸念にもかかわらず、経済成長を支えるために金融緩和を再開した。

主要政策金利の7日物リバースレポ金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、5.75%とした。これは1年以上ぶりの低水準。

中銀は預金ファシリティー金利と貸し出しファシリティー金利も25bp引き下げ、それぞれ5.00%と6.50%とした。

ロイター調査では、30人のエコノミスト全員が、ルピアへの圧力を理由に現状維持を予想していた。

インドネシア中銀は昨年9月、3年以上ぶりに利下げを実施した。その後はルピアを安定させるために金利を据え置いてきた。

ペリー・ワルジヨ中銀総裁は「今こそ金利を引き下げ、より良い成長シナリオを描くタイミングだ」と指摘。「(中銀は)さらに経済成長を支援する余地を探っていく」と述べ、追加で景気対策を講じる可能性を示唆した。

利下げに踏み切った主な要因として、2024年第4・四半期の成長が予想を下回る兆候を挙げた。また、26年までのインフレ率が低水準にとどまる見込みで、政策緩和の余地が生まれていると説明した。

同氏は、米国の金融政策を巡る不確実性は残っているものの、インドネシア経済への影響を中銀はより正確に評価できるようになったと述べた。

<成長率予想引き下げ>

中銀は、24年の経済成長率が予測レンジ(4.7─5.5%)の中間値を若干下回る可能性を示唆した。また、個人消費が低迷し輸出も弱いと予想されることから、25年の成長率見通しを前回の4.8─5.6%から4.7─5.5%へ下方修正した。

インドネシアのインフレ率は緩やかで、12月は前年比1.57%と、中銀の目標レンジである1.5─3.5%の下限付近だった。

15日の外国為替市場では、利下げを受けてルピアは1ドル=1万6335ルピアと、6カ月ぶり安値を付けた。一方、主要株式指数は上昇し、0850GMT(日本時間午後5時50分)時点で1.8%高となった。

ワルジヨ氏は「世界的な不確実性と、それが為替レートに与える影響がわれわれの主な懸念だった」と述べた。「現在の為替レートは比較的安定しており、今後の基礎的な価値と一致している」との見解を示した。

DBSのエコノミスト、ラディカ・ラオ氏は、予想外の利下げは成長重視への政策転換を示唆しており、為替に関する中銀のこれまでの慎重なコメントとは対照的だと述べた。

三菱UFJ銀行の為替アナリスト、ロイド・チャン氏は「インドネシア中銀は明らかに、経済支援とルピア安(対策)という二つの目標に取り組んでいる。利下げの決定は必然的にルピアに圧力をかける」と予想した。

「トランプ米政権による段階的な関税引き上げは、ルピアにとって一定の支援材料になる可能性がある」とも述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独新政権発足100日、エコノミストは改革不足に失望

ワールド

豪就業者数、7月は2.45万人増 失業率4.2%に

ワールド

米控訴裁、トランプ氏による対外援助停止を容認 下級

ワールド

原油先物2カ月ぶり安値から反発、米ロ首脳会談控え
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ「衝撃の物体」にSNS震撼、13歳の娘は答えを知っていた
  • 3
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 5
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 6
    マスクの7年越しの夢...テスラ初の「近未来ダイナー…
  • 7
    「ホラー映画かと...」父親のアレを顔に塗って寝てし…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    トランプ「首都に州兵を投入する!」...ワシントンD.…
  • 10
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 6
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 7
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 8
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中