ニュース速報
ワールド

大型ハリケーンが米フロリダ州接近、避難者で一部地域渋滞 ガソリン不足も

2024年10月09日(水)11時08分

 10月8日、「カテゴリー4」のハリケーン「ミルトン」は同日に勢力を強める見通し。写真は自主避難命令を受ける住民や観光客ら。7日、メキシコ・ホルボックス島で撮影(2024年 ロイター/Paola Chiomante)

Daniel Trotta Brad Brooks

[タンパ(米フロリダ州) 8日 ロイター] - メキシコ湾の大型ハリケーン「ミルトン」は8日、5段階で最強の「カテゴリー5」に再び勢力を強め、米フロリダ州に向かって進んでいる。9日にも同州に上陸するとみられる中、避難命令が出された州西部タンパ市から退避する車両で渋滞が発生し、一部の給油所はガソリン不足に陥った。

米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、ミルトンは現地時間午後7時(日本時間午前9時)現在、タンパ市の南西710キロに位置し、時速17キロで東北東へ進んでいる。最大風速は75メートル。一時はカテゴリー4に勢力を弱めていた。

ミルトンがタンパ湾を直撃すれば、1921年以来初めてとなる。ミルトン上陸に備えて100万人以上に避難命令が出されている。人口が多い同州西岸部は死者200人以上を出したハリケーン「ヘリーン」の被害を受けたばかり。 

バイデン米大統領は8日、「生死に関わる問題」として、対象地区の住民に直ちに避難するよう呼びかけた。「フロリダ州を直撃するハリケーンとしては過去100年で最強のものになる可能性がある」とし、フロリダ州に対しハリケーン上陸前の緊急事態宣言を承認したと明らかにした。

ホワイトハウスによると、バイデン氏はハリケーンに対応するため、予定していたドイツとアンゴラ訪問を延期した。  

タンパ市のキャスター市長は「避難対象地区にとどまれば命を失う」と警告した。

NHCはミルトンの暴風域がフロリダ州接近に伴い拡大する見込みとした。同州に上陸後、数日間に及ぶ停電など、甚大な被害をもたらすとみられている。

米航空各社はミルトン上陸に備え、フライトの調整を進めている。 フライト追跡サイト「フライトアウェア」によると、8日午後時点で国内線および米国を発着する国際線の約1311便が遅延、701便が欠航となっているほか、9日に運航が予定されていた1500便超も欠航となった。

ミルトンが直撃する恐れのあるタンパの国際空港は8日閉鎖され、米国で利用客が最多の空港の一つであるオーランド国際空港は9日午前8時に全ての航空機の運航を停止すると発表した。

エネルギー会社もタンパ近辺で対応に追われている。 

パイプライン運営大手キンダー・モーガンはタンパからオーランドにガソリンやディーゼル、その他の燃料を輸送するセントラル・フロリダ・パイプライン・システムや、タンパ地域にある他の燃料輸送ターミナルを閉鎖したと発表した。

精製業者シトゴもタンパのターミナルを閉鎖したと明らかにした。

調査会社ガスバディによると、8日遅くには、州内約8000カ所のガソリンスタンドの17%程度がガソリン不足に陥った。

オックスフォード・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ライアン・スウィート氏はリポートで、ミルトンの予想進路上の地域は米国の国内総生産(GDP)の約2.8%を占めると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋

ビジネス

投資家がリスク選好強める、現金は「売りシグナル」点

ビジネス

AIブーム、崩壊ならどの企業にも影響=米アルファベ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中