ニュース速報
ワールド

情報BOX:今年のノーベル平和賞、UNRWA・ICJ・国連事務総長が有力

2024年10月04日(金)14時23分

 今月11日に発表される2024年のノーベル平和賞の受賞者に、専門家からは国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、国際司法裁判所(ICJ)、グテレス国連事務総長が有力候補になるとの見方が出ている。ノルウェーのオスロで2022年撮影(2024年 ロイター/Victoria Klesty)

Gwladys Fouche Ilze Filks

[オスロ/ストックホルム 3日 ロイター] - 今月11日に発表される2024年のノーベル平和賞の受賞者に、専門家からは国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、国際司法裁判所(ICJ)、グテレス国連事務総長が有力候補になるとの見方が出ている。

過去を踏まえると、ノルウェーのノーベル賞委員会は驚かれる受賞者を発表する可能性がある。一方、該当者がいないと公表する可能性もある。

ブックメーカー(懸け屋)は、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏を有力候補に挙げた。しかし、収監されていた北部ヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所で今年2月に死亡しており、死後には受賞できないため不可能だ。

他の有力候補として挙げたのは、ロシアに侵攻されたウクライナのゼレンスキー大統領だ。だが、戦闘中の国の指導者であるため受賞する可能性は低い。

他方でイスラエルとイスラム組織ハマスのパレスチナ自治区ガザでの戦闘が拡大し、ウクライナでの戦闘が3年目を迎え、内戦が続いているスーダンで1000万人を超える避難者が出ている中で、ノーベル賞委員会は困窮している市民を救済する人権活動家に授与したいと考えている可能性がある。

オスロ平和研究所のヘンリック・ウルダル所長はロイターに対して「UNRWAも候補の一つになり得る。ガザでの戦闘の苦しみを体験している民間のパレスチナ人のために非常に重要な活動をしている」との見方を示した。

ただ、UNRWAの一部職員が戦闘の引き金となったハマスによる23年10月7日のイスラエル南部への攻撃に参加した疑惑を踏まえると、UNRWAに授与すれば物議を醸すだろうとも付け加えた。

ノーベル賞委員会が、第2次世界大戦後に構築された国際世界秩序とその頂点に立つ機関の国連を強化する必要性に焦点を当てたいと考えている可能性もある。ノーベル平和賞について調べてきた歴史家のアスレ・スベーン氏は、そのことは国連事務総長のグテレス氏またはICJに授与する可能性を意味し得ると指摘した。

スベーン氏は「グテレス氏は国連の象徴だ」とし、「ICJの最も重要な任務は、国際人道法が世界で適用されるようにすることだ」と語った。

一方、直近では1972年がそうだったように、これまでに計19回あった「該当者なし」の判断を下す可能性もある。

ストックホルム国際平和研究所のダン・スミス所長はロイターに対して「ノーベル賞委員会が授賞を留保することで、地球で戦闘が繰り広げられている事実に注意を向けさせるべき年なのかもしれない」と言及した。

今年のノーベル平和賞には286人がノミネートされており、これまでに国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ローマ教皇フランシスコ、英動物学者デービッド・アッテンボロー卿の名前が明らかになっている。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中