トランプ氏の関税引き上げ案、海上運賃高騰招くと専門家
米国のトランプ前大統領(写真)が11月の大統領選で勝利した場合に輸入関税の引き上げを計画していることについて、専門家は2017─21年のトランプ政権時代のような海上運賃の高騰につながるとの見方を示している。ラスベガスで8月撮影(2024年 ロイター/David Swanson)
Lisa Baertlein
[ロサンゼルス 12日 ロイター] - 米国のトランプ前大統領が11月の大統領選で勝利した場合に輸入関税の引き上げを計画していることについて、専門家は2017─21年のトランプ政権時代のような海上運賃の高騰につながるとの見方を示している。
トランプ氏は国内製造業の活性化を目指し、事実上全ての輸入品に一律で10─20%の関税を課すとともに、中国製品については60%以上の関税をかける方針を示している。
海運情報会社ゼネタのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は 「トランプ氏の輸入関税は『歴史は繰り返す』のパターンであり、海上コンテナ輸送料金の急騰を招く。そのコストは消費者が負担することになる」と述べた。
コンテナ輸送を多用する小売り大手ウォルマートなどが加盟する全米小売業協会(NRF)はトランプ氏の計画に反対。「関税は輸入品に対する税金であり、隠れた売上税のように機能する」とし、コスト増加で消費者が打撃を受けると主張している。
全米靴流通販売業協会(FDRA)のマット・プリースト代表は「関税によって国内生産を維持できなかった典型例がわれわれだ」とし、現在、靴の99%が輸入されていると述べた。FDRAは政策担当者と協議し、国内消費者が関税を支払うことになると訴える方針という。
18年にトランプ政権が新たな関税を発表すると、海上コンテナ輸送料金は70%以上急騰。荷主が船舶・トラック・貨物列車の空きスペースを求めて争う形となり、サプライチェーンが混乱した。陸揚げされた商品が港湾や倉庫に溢れ、家具・履物・鉄鋼などさまざまな商品が値上がりした。
海上運賃はイエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海で商船を攻撃していることを受けて、すでに値上がりしている。これに加え、年末商戦向けの商品や原材料の輸入が急増しており、上海からニューヨークへの40フィートコンテナ輸送料金は最近1万ドルに達した。