ニュース速報
ワールド

アングル:中国、アフリカ債務免除に踏み込まず 新たな資金拠出約束 

2024年09月11日(水)19時15分

 9月7日、中国は4―6日に開いた「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」で、アフリカ諸国の多くが求めていた債務免除には踏み込まなかったものの、今後3年間にアフリカ支援に3600億元(7兆220億円)を拠出すると表明した。写真は人民大会堂で開かれたFOCAC首脳会議で撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)

Duncan Miriri Laurie Chen

[ナイロビ/北京 7日 ロイター] - 中国は4―6日に開いた「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」で、アフリカ諸国の多くが求めていた債務免除には踏み込まなかったものの、今後3年間にアフリカ支援に3600億元(7兆220億円)を拠出すると表明した。

2000年に発足したFOCACは、習近平国家主席が2013年に広域経済圏構想「一帯一路」を打ち出すと重要性が高まった。中国はFOCACをてこに、対アフリカ政策で欧米や日本に対抗しようとしており、今回はアフリカから50を超える国の指導者が参加した。

英調査会社テリマーのハスナイン・マリク氏は「中国は新興市場への資金動員を再び積極化しようとしている」と述べた。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック前の水準には戻っていないという。

今回の拠出額は2021年の前回拠出額を上回っているが、ピークだった15年と18年の600億ドル(8兆5300億円)を下回った。15年と18年の資金は道路、鉄道、橋梁などの建設に充てられたが、19年以降は拠出額が減り、アフリカでは建設プロジェクトが停滞している。

中国は今回の拠出について、貿易関係を改善するためのインフラプロジェクト30件に充当すると説明したが、詳細は明かさなかった。

アフリカ大陸は54カ国を擁し、総人口は10億人を超える。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の実現には輸送網の整備が欠かせないが、インフラ資金が推計で年1000億ドル不足している。

中国政府は近年、こうしたプロジェクトへの資金拠出を減らし、「小規模で美しい」プロジェクトに重点を移している。国内経済の低迷やアフリカ諸国の債務リスク増大が主な理由だ。

中国外務省の毛寧副報道局長は6日の定例記者会見で、新たな拠出合意と中国の足元の慎重な海外融資戦略との整合性について問われると、「プロジェクトの具体的な実施を含め、中国とアフリカ諸国の協力については双方が協議し、決定する」と述べるにとどめた。

<通貨スワップ>

中国は今回、アフリカで30のクリーンエネルギープロジェクトを始動し、原子力技術分野で協力し、工業化を遅らせている電力不足に取り組む方針も示した。

南アのスタンダード銀行の調査部門責任者、グーラム・バリム氏は「FOCAC首脳会議の結果から、グリーンプロジェクト、とりわけ再生可能エネルギー設備に弾みが付きそうだ」と述べた。バリム氏によると、中国は風力発電と太陽光発電の分野で世界的にトップに立ち、重要なサプライチェーン(供給網)を握り、生産コストを抑えている。

しかし懐疑的な見方もある。

BNPパリバの新興市場クレジット戦略グローバル責任者、トラン・グエン氏は「問題は投資の規模そのものではなく、債務条件の透明性の欠如にある」と言う。

返済に苦しむ国に対して中国から債務負担免除の申し出はなく、多額の対中債務を抱える国にとって明確な成果があったとは言い難い。

中国はアフリカ諸国の債務免除を見送る一方で、他の債権者に「共同の行動と公平な負担分担の原則の下、アフリカ諸国の債務の処理と再編に参加するよう」促した。

大きな案件がまとまることを期待していたアフリカ諸国は、控えめな成果しか得られなかった。

エチオピアとモーリシャスは、中国人民銀行(中央銀行)との新たな通貨スワップ枠を発表。ケニアは近代的な鉄道などの主要プロジェクト向けの融資再開に向けた交渉が進展したと明らかにした。

それでも、一部の人々はなお楽観的で、アフリカの安全保障、人道的課題、その他の非資金的な問題に対する中国の関与拡大を歓迎している。タンザニアのサミア大統領はX(旧ツイッター)に「約70年にわたる努力により、中国とアフリカの関係は歴史上最良の状態にある」と投稿した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国AI研究者、米国との技術格差縮小可能と指摘 課

ビジネス

25年世界スマホ出荷2%増、アップルがシェア20%

ビジネス

26年の原油価格は下落へ、供給増で=ゴールドマン

ビジネス

FRB議長に召喚状、政権の圧力未踏の領域に 市場に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 10
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中