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アングル:原油が記録的供給過剰に、生産増とアジア景気減速で

2018年11月18日(日)09時14分

11月14日、アジア主要国の景気見通しに陰りが出たタイミングで、過去最大級の石油供給が同地域に押し寄せているとの見方から、国際原油価格は10月初め以来25%も下落した。シンガポール沖を航行するタンカー。2016年6月撮影(2018年 ロイター/Edgar Su)

[シンガポール 14日 ロイター] - アジア主要国の景気見通しに陰りが出たタイミングで、過去最大級の石油供給が同地域に押し寄せているとの見方から、国際原油価格は10月初め以来25%も下落した。

海運データによると、11月には過去最高の日量2200万バレル超がアジアの主要市場に届いた。これは2017年1月に比べて約15%多く、今年初めからは約5%増えている。

供給分の大半は今月の米国による対イラン制裁再開の前に発注されたものだ。

ただ、米国が予想外に大幅な制裁免除を認め、アジアの主要な石油消費国がイランから原油購入を継続できているため、警戒されたような供給の急減は起こらなかった。

それどころか、世界3大生産国である米国、ロシア、サウジアラビア産を中心に世界の石油供給は急増した。

供給の急増分は今のところ、健全に消費されている。アジアの主要新興国である中国とインドだけでなく、先進国の日本と韓国の需要も堅調だ。

しかしここにきて供給過剰の恐れが生じ、原油価格が急落した。アナリストは、アジア主要国全体で景気減速の兆しが出ているため、状況はさらに悪化しかねないと警告する。

中国では、米中貿易摩擦の影響で消費が落ち込み、2018年は初めて自動車販売が下落する可能性がある。

日本は第3・四半期にマイナス成長に陥った。

インドは通貨ルピーの大幅下落により、石油を含む輸入コストが急増した。

ジュリウス・ベアのコモディティ調査責任者、ノルベルト・ロイカー氏は「過去数カ月間は対イラン制裁とベネズエラの生産減少、つまり供給不足に注目が集まっていたが、今は供給過剰の懸念が高まっている」と説明。「ヘッジファンドその他の投機マネーは素早く買いから売りに転じた」と続けた。

市場心理の急変により、原油先物のカーブも変化した。

9月にはスポット価格が先渡し価格を大幅に上回り、需給のひっ迫を示す「バックワーデーション」の形となっていた。しかし今週は、直近価格が先渡し価格を下回る「コンタンゴ」に転じ、供給過剰状態を示している。

HSBC(香港)のアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は「経済活動は減速を続け、しばらくはエネルギー需要の伸びが抑えられるだろう」と述べ、来年にかけても石油市場の見通しは暗いとの見方を示した。

ロイター
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