ニュース速報
ビジネス

インタビュー:26年も日本株の強気継続、日銀政策の「後手」がリスク=ブラックロック

2025年12月11日(木)15時41分

 12月11日、ブラックロック・ジャパンは、2026年の日本株に強気のスタンスを継続する。写真は同社のロゴ。ニューヨークの証券取引所で7月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

Noriyuki Hirata Rocky Swift

[東京 11日 ロイター] - ブラックロック・ジャパンは、2026年の日本株に強気のスタンスを継続する。米国で経済が底堅く、金融緩和が継続する中でリスク資産に好ましい環境が続くとの見方が背景にある。デフレからの脱却など構造変化が進む日本については、グローバルポートフォリオの中で最もオーバーウエートしている投資スタンスを継続する。一方、日銀の金融政策が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」など政策面のリスクがあるとの見方も示した。

地口祐一チーフ・インベストメント・ストラテジストがロイターのインタビューで述べた。

地口氏は、米国を中心に経済が上振れていくとみる。失業率が低い中で、賃金が着実に伸びる組み合わせは「米国の歴史上でも非常に良好な状態」と指摘。個人消費は今後も底堅く推移するとみている。日本や欧州も、財政・金融ともに引き締めに大きく舵を切ることは難しく、来年にかけては世界的に投資家がリスクを取りやすい局面だという。

とりわけ日本企業は、デフレ環境下とは異なり、コスト上昇分をある程度、安定的に価格に転嫁できるようになってきたと指摘。企業の売上高は2─3%の伸びを確保しており「数量が大きく落ち込まない限り、営業利益の伸びにつながる」との見方を示した。

米関税の悪影響が後退していく中で、TOPIXの1株当たり利益(EPS)は10%以上の伸びを見込むという。とりわけ海外投資家にとって政策の安定は非常に大事だと指摘。この点、高市政権は、野党の主張も取り入れる姿勢を示しており「政策の安定性は保たれそうだ」とみている。

<日本株高の柱はハイテク、金融に>

日本株の柱となるのはハイテク株や金融株だという。

ハイテク株は、米エヌビディアに代表される画像処理半導体(GPU)関連株の短期的な値動きだけに目を奪われるのではなく、その背後にある設備投資の波と、その受益企業、さらにその先のサービス企業まで含めて見渡すことが必要との見方を示す。

AI(人工知能)関連では来年も米大手ハイテク企業を中心に堅調な設備投資が継続するとみている。日本企業は半導体製造装置やデバイスを手掛ける企業が多く「その(巨額投資の)受け皿になる」と地口氏は指摘する。アドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループといったハイテク株の構成比が高い日経平均は、指数全体としても上昇しやすい構造とみている。

金融株は、イールドカーブ(利回り曲線)の「ベアスティープ」化を前提に株高を見込む。仮に10年金利が2─3%となっても「実体経済への影響はあまりネガティブでない一方、リフレ的な環境になる中では企業活動には総じて良い」との見方を示した。すでに国債を保有している金融機関は金利上昇で含み損が生じるリスクがあるものの、メガバンクは金利リスクの観点からデュレーションを短期化しているとして「10年金利3%でも、さほど大きなインパクトにはならないのではないか」とみている。

<政策面で「後手」のリスクも>

株高にとってのリスクは、政策面での動きが想定されるという。その1つとして日銀の金融政策が市場や経済の状況変化への対応で遅れる「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るリスクを挙げた。

市場では日銀による12月の追加利上げの織り込みが進んでいるが、予想通り利上げした場合、政策金利は0.75%となる。地口氏は「インフレ率3%に対して0.75%の政策金利がどうなのかという議論が出てくるだろうが、コンスタントな利上げには、今の政権下では逆風の要素もあるのではないか」とみている。

市場では、高市政権の財政拡張路線と利上げの整合性の乏しさが意識され、先行きの利上げペースは緩慢とみられている。「来年の後半ぐらいにインフレが上振れてきたとき、政策金利が0.75%のままだと後追いとなり、債券も株も通貨も、市場が一番嫌う状況となるリスクがある」と地口氏は指摘した。

一方、住宅価格や家賃の高騰を防ぐため、外国人や外国企業による不動産購入への規制や課税を強化する議論が浮上している。こうした規制や課税強化が現実化する場合、「短期的に利益確定売りを招いたり、資金の引き上げがあるかもしれない」との見方も示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国経済、イラン戦争で不確実性高まる エコノミスト

ワールド

世界の石油・ガス輸送運賃が急騰、ホルムズ海峡巡る混

ワールド

情報BOX:中国全人代が5日開幕、注目すべき主要経

ビジネス

ブロックチェーン活用した中銀マネーの決済、内部で実
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 5
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 6
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 7
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 8
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中