EXCLUSIVE-ECB、銀行資本要件の簡素化提案へ=関係筋
ドイツ・フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)本部。2024年7月18日撮影。REUTERS/Jana Rodenbusch/File Photo
[フランクフルト 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が、銀行に義務づけられる自己資本要件について、世界金融危機後に導入された複雑な規制を簡素化する措置を提案すると、関係者2人がロイターに明らかにした。金融ショックへの備えとして銀行が保有する必要がある自己資本に関し、景気後退の際に緩めることができる要件と、常に維持することを求める要件に減らすことが柱。自己資本そのものの基準緩和には慎重な内容となる。
ECBのデギンドス副総裁が作業部会のまとめた勧告案を11日に記者団に公表する予定。見直しについてはフランスやドイツなど欧州連合(EU)加盟国の間で立場に隔たりが大きく、勧告案もそれを踏まえた内容となった。欧州委員会に提出され、欧州議会で議論されることになる。規則の改正には数年かかり、どこまで緩和すべきかを巡る議論が再燃する可能性がある。
銀行業界は規制が複雑すぎ、米国の金融機関などに比べて不利になりかねないとして、規制の緩和を望んでいた。トランプ米政権は規制緩和を推進。また、イングランド銀行(英中央銀行)は先週、銀行の中核的自己資本比率の要件を引き下げると発表した。
ECBは勧告案に、EU加盟各国が設定することができる「システミックリスクバッファー(SyRB)」と「カウンターシクリカル資本バッファー(CCyB)」を統合する考えを盛り込む。これらの仕組みは、2007-08年に見られたような金融危機防止を目的とした改革の一環として、EUが導入。運用面では、SyRBは加盟国により0.5%から7%まで幅があり、適用範囲にも違いが出ている。
ECBに近い別の関係者によると、簡素化の取り組みは、規制の重複を解消することに重点が置かれており、全体的な自己資本要件を緩和することはほとんど想定されていないという。
作業部会はこのほか、中小金融機関向け規制の見直しや、監督当局や統計局などへの報告データの統一化も提案。法令順守の作業のためにかかるコストの削減を目指す。
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