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マクロスコープ:青森沖地震、懸念される経済損失 専門家は「ストック」を重視

2025年12月09日(火)14時18分

写真は円紙幣のイメージ。2017年6月撮影。REUTERS/Thomas White

Tamiyuki Kihara

[東京 9日 ロイター] - 青森県東方沖を震源とする8日深夜の地震は、現在も被害状況の把握作業が続いている。年末年始の帰省や観光シーズンを間近に控えているほか、厳寒期を迎える時期と重なったことなどから、住民生活の復旧・復興や経済損失への懸念も大きい。2024年1月に起きた能登半島地震との比較から、今回の地震で心配される経済への影響を読み解く。

三菱総合研究所の分析によると、地震による経済損失を試算するために重視されるのは、電気・ガス・水道などの生活インフラや、交通網や港湾など産業インフラの被害状況だ。こうした「ストック」の毀損は地域からの人材流出につながり、供給力が著しく低下させる可能性につながる。また、観光客など人の流入が減少する要因にもなり、需要面にも大きな打撃を与えかねないという。

地域の供給と需要がともに減少する事態となれば、住民生活への深刻な影響は避けられない。住民避難が長期化すればするほど地域の空洞化を招き、その後の経済活動にも響く恐れがある。

能登半島地震では道路や港湾に加え、上下水道などの生活インフラも大きな打撃を受けた。内閣府は発災直後、地域全体で1.1―2.6兆円程度のストックが毀損したと試算。石川・富山・新潟各県では24年1―3月期、GDP(国内総生産)に1000億円程度の直接的な損失があったとも試算した。

加えて、朝市で有名な輪島市の中心部で大規模な火災が起きるなど観光にも影響。直後の豪雨被害も重なって住民の避難生活は長期化し、経済活動の立て直しの難しさを物語った。

三菱総研は当時、24年2月上旬までに判明した被害状況を基に能登地域のストックが2.2兆円程度毀損されたとの試算を出した。その影響で地域が生み出す付加価値(フロー)も打撃を受けるとし、「労働力が1年程度でおおむね震災前の水準に戻る」と仮定した場合でもフローが約1600億円下押しされると試算した。

今回の地震は青森県八戸市で最大震度6強を観測する一方、詳しい被害状況はまだ明らかになっていない。木原稔官房長官は9日午前の記者会見で、「負傷者30人、住宅火災1件などの報告を受けている。引き続き被害状況の把握に努めている」と説明。内閣府の調査チームを現地に派遣したことも明らかにした。

政府は「後発地震注意情報」を発出し、北海道から三陸沖にかけて平時よりも大規模地震発生の可能性が相対的に高まっていると注意を呼びかけている。今後判明する被害状況によっては、経済損失が深刻化する可能性もある。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、「地震による経済損失はGDPがどの程度下がるか、建物被害による損失はどのくらいかなどで試算することができる」と話す。その上で、「能登半島地震は火災などもあって家屋への被害が大きかった」と指摘。11年の東日本大震災では「生産設備が大きな被害を受け、サプライチェーンが遮断されるなど物流への被害が顕著だった」と述べた。

今回の地震については「現時点でストック、フローともにあまり大きな被害は出ていないと思う」とする一方、「今後、地震への不安の高まりや余震が頻発することで旅行客が減るなどの影響が出てくれば経済損失は大きくなる可能性がある」と語った。

(鬼原民幸 編集:橋本浩)

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