英大手銀、預金トークンの試験運用に着手、中銀総裁の呼びかけ受け

9月26日、英国の大手銀行は、顧客の預金をトークン化した「預金トークン」を来年導入するための準備を進めている。写真はベイリー英中銀総裁、ロンドンで7月撮影(2025年 ロイター/Alastair Grant)
Phoebe Seers
[ロンドン 26日 ロイター] - 英国の大手銀行は、顧客の預金をトークン化した「預金トークン」を来年導入するための準備を進めている。イングランド銀行(BOE、英中央銀行)のベイリー総裁が、ステーブルコインよりもトークン化技術を優先するよう訴えたのを受けた措置。
トークン化とは通常、預金、株式、債券などのデジタル版資産をブロックチェーン上に創設することを指す。支持者らは、トークン化によって手続きが迅速で安価、安全になると主張している。
英銀行業界団体UKファイナンスは26日、HSBC、ナットウエスト、ロイズ、バークレイズなどの大手銀が預金トークンをオンラインのマーケットプレース経由で決済に利用するためのパイロット版を立ち上げたと発表した。
ステーブルコインは欧米で人気を博しているが、ベイリー総裁は7月、ステーブルコインは銀行システムからの資金流出を招き、金融安定を脅かしかねないと指摘。銀行は独自のステーブルコインを発行するべきではないと警告し、トークン化技術の方が有用だとの見解を示していた。
BOEは、預金トークンであれば今ある規制の範囲内で試験運用できると説明してきた。
ある英銀行幹部は、預金トークンには「ステーブルコインのようなブランドイメージはない」が、重要な技術更新だとの見方を示した。
HSBCの国際決済ソリューション責任者、マニッシュ・コーリ氏は、預金トークンは異なる金融機関の間でやり取りができないため、潜在力をまだ完全に発揮できていないが、パイロット版によってその問題が解決できると述べた。
コーリ氏はまた、パイロット版は今のところ国内利用に焦点を絞っているが、最も期待が大きいのは国境を越えた取引だと指摘した。