アングル:「高市トレード」に一服感、小泉氏関連に物色 防衛株は堅調維持

自民党の総裁選挙で高市早苗前経済安全保障担当相の勝利を織り込む「高市トレード」に変調の兆しがみられる。写真は株価を表示するスクリーン。4月15日、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Noriyuki Hirata
[東京 24日 ロイター] - 自民党の総裁選挙で高市早苗前経済安全保障担当相の勝利を織り込む「高市トレード」に変調の兆しがみられる。全体相場の軟調な動きは米株安につれた側面が強いが、個別株に目を転じると、高市氏の関連株が失速気味となる一方、小泉進次郎農林水産相に関連した銘柄の物色が目立つ。選挙結果に左右されにくい防衛関連株は総じて堅調を維持している。
24日の市場では、高市氏の関連として人気を集めた助川電気が一時11%安となった。高市氏がエネルギー安全保障、産業政策の両面から重要視する核融合関連の一角となる。同社の株価は、石破茂首相が退陣の意向を示すと上昇の勢いを増し、9月は22日までに約8割上昇していた。
核融合関連ではジェイテックコーポレーションが5%安。サイバーセキュリティ―関連のFFRIセキュリティが7%安、量子コンピューター関連のフィックスターズが2%安と「高市銘柄」の下げが目立つ。
一方で逆行高の動きを強めているのは、小泉氏が全面解禁に前向きと目されているライドシェア関連だ。大和自動車交通やアディッシュがストップ高水準で買い気配。FIGは4%高となっている。
国内メディアの調査では、高市氏の有利を伝える結果が多い一方、進次郎氏の支持が1位の調査も出てきている。日本テレビは21日、自民党の党員、党友と答えた人を対象に独自の電話調査をし、誰を支持するかたずねたところ、小泉氏が32%で1位になったと伝えた。
市場では「小泉氏の勝利を織り込むような相場となっている」(GCIアセットマネジメントの池田隆政ポートフォリオマネージャー)との声が聞かれる。
日経平均やTOPIXといった指数の下落は、前日の米株安を嫌気した側面が強く、総裁選への思惑の変化が影響しているとみる向きは少数派だが、岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部部長は「株式市場は高市氏を歓迎するムードがあるだけに、同氏に傾いていた期待が少し薄れている感じもある」との見方を示している。
一方、三菱重工業は4%高、IHIは8%高と、防衛関連株は総じて堅調だ。「防衛関連は予算が組んであるため、誰が(総裁に)なっても買われるという構図になっている」と三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは話している。