インタビュー:利上げは来年3月か、ETF売却開始「かなり唐突感」=安達・前日銀委員

日銀は9月18、19日に開いた金融政策決定会合で、保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の売却を開始することを全員一致で決定した。写真は19日、日銀本店で記者会見する植田総裁(2025年 ロイター/Manami Yamada)
Yusuke Ogawa
[東京 19日 ロイター] - 日銀は18、19日に開いた金融政策決定会合で、保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の売却を開始することを全員一致で決定した。政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標は0.5%程度で維持することを賛成多数で決定した。2人の委員が0.75%に利上げする議案を提出したが、反対多数で否決された。
リフレ派の論客として知られ、今年3月まで日銀の審議委員を務めた安達誠司氏に今回の決定の評価と金融政策の見通しなどについて聞いた。
――政策金利について、5会合連続での現状維持となった。
トランプ関税の影響が国内景気の下振れ要因として今後出てくる恐れがあり、もう少し様子を見たかったのだろう。米雇用市場が減速しており、米国内の需要が減少すれば、日本の輸出企業の業績悪化が懸念される。また、総務省がきょう発表した8月の消費者物価指数をみても伸び率が縮小しており、足元はそれほど利上げを急ぐ環境ではない。
(反対票が2票出たが)高田創審議委員と田村直樹審議委員は従来からタカ派的なスタンスなので意外感はない。大きな見解の違いがあったというよりは、7月分の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」でも関税の影響を一時的と予測しているので、25ベーシスポイント(0.25%)の利上げをしても、経済活動に大きな支障は出ないと考えたのではないか。私自身もそう思う。
――保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の売却開始も決定した。
サプライズだ。唐突感がかなりある。私が審議委員だった時は、ほとんど議論していなかった。株式市場の上昇ピッチが速くなっているので、ここは売り時ではないかと、急に決まった印象を受ける。
ETFは簿価で年3300億円程度ずつ売却していくとのことだが、このペースだと全て売却するまでに100年以上かかる計算になる。金額的には当面、市場にそれほどの影響はないと思うが、売却を始めたという事実が重要だ。今後どこかのタイミングで売却を加速するという話が出てくれば、株価の頭を抑える要因になる可能性がある。
――今後の利上げ見通しは。
次回の10月会合までに、トランプ関税を巡る霧が晴れるのは難しいだろう。政策金利を判断する上で、関税の影響を重視するならば、年内の利上げは難しく、来年に持ち越すという話になるのではないか。
例年1月に経済団体が春季労使交渉(春闘)の指針を出すので、その頃に賃上げの感触を確かめられる。とはいえ、中小企業の動きも把握しようとすれば、もっと時間がかかるため、利上げ時期のメインシナリオは来年3月だとみている。
―新首相の就任が日銀に与える影響は。
自民党総裁選では、小泉進次郎農相と高市早苗前経済安全保障相が有力視されている。仮に小泉氏が新首相に就いた場合、日銀への影響は特に無いだろう。高市氏に関しては、総裁選で掲げる公約案が報じられていたが、(それを読む限り)消費税減税などが盛り込まれておらず、積極財政の色が薄れて政策が“丸まった”ような感じがした。もしそうであれば、日銀に対する強い注文は出てこないのかもしれない。
(聞き手・小川悠介 編集:橋本浩)
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