米中協議決裂なら、ユーロ圏インフレ率鈍化か=ECBブログ

欧州中央銀行(ECB)は30日のブログで、米中の関税交渉が決裂し、中国が対米輸出品をユーロ圏に振り向けた場合、来年のユーロ圏のインフレ率が鈍化する可能性が高いとの見方を示した。ECB本部前で2024年撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch/ File Photo)
[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は30日のブログで、米中の関税交渉が決裂し、中国が対米輸出品をユーロ圏に振り向けた場合、来年のユーロ圏のインフレ率が鈍化する可能性が高いとの見方を示した。
米国の対中実効関税率が135%前後まで上昇した場合、中国は余剰品の多くをユーロ圏に輸出する可能性が高いという。
この場合、2026年のインフレ率が最大0.15%押し下げられる可能性がある。27年の押し下げ幅は26年を下回る見通しという。
エコノミストの間では、こうしたシナリオが現実になる可能性は低いとの見方が多いが、ユーロ圏のインフレ率はすでに来年1.6%に低下すると予想されており、ECBが利下げを迫られる可能性がある。
ブログは「消費者物価が下落するにはある程度の時間がかかるだろう」とし「エネルギー以外の工業品の消費者物価は、最初のショックから1年─1年半後に影響が最も強く顕在化する傾向がある」としている。
この「厳しい」シナリオの下では、ユーロ圏で中国からの輸入が最大10%増加し、消費量全体の1.3%に相当する供給過剰が生じる可能性がある。
市場がこうした過剰供給を吸収するには、輸入物価が全体で1.6%下落する必要があり、エネルギー以外の工業製品の価格上昇率は26年に最大0.5ポイント押し下げられる可能性があるという。