ANAHD専務、日米関税合意「国同士の交渉事」 計画通り320機保有へ

ANAホールディングスの中堀公博専務執行役員・グループCFO(最高財務責任者)は29日の決算会見で、日米関税合意に盛り込まれた日本の米ボーイング機の購入を巡り、「国同士の交渉事」として詳細な言及は控えた。資料写真、2019年3月撮影(2025年 ロイター/Regis Duvignau)
Maki Shiraki
[東京 29日 ロイター] - ANAホールディングスの中堀公博専務執行役員・グループCFO(最高財務責任者)は29日の決算会見で、日米関税合意に盛り込まれた日本の米ボーイング機の購入を巡り、「国同士の交渉事」として詳細な言及は控えた。
同時に、同社が計画・公表している「(ボーイング以外の機材も含めた)2030年度の320機(保有)体制に向けての準備を今後も進めていく」と述べた。
関税交渉を担当する赤沢亮正経済再生相は、機材購入について「国内航空会社の既存の購入計画も含むものと理解している」と説明している。
<アジア発ー北米向け貨物好調>
中堀CFOは、日米関税合意の影響に関して「不透明感が大きかった中、企業側がいろいろ計画を立てやすくなる」と指摘。「すぐにアジアから北米向け貨物が減ることは今のところ想定していない」とし、「中期的にどういう動きがあるかしっかり注視し、ネットワークを柔軟に調整して収益確保に努めたい」と述べた。
同社は現在、貨物専用機で大型機2機と中型機6機を保有し、8月1日以降は完全子会社化する日本貨物航空が加わる。中堀専務は「しっかり貨物専用機を持っていることの強みを生かし、(企業の)サプライチェーン変更に柔軟に対応していきたい」と述べた。
25年4━6月期の国際線貨物は堅調なアジア発の需要により、輸送重量が前年同期から1.5%増えた。中堀専務によると、米国関税政策により中国発北米向けの三国間貨物は同4割ほど落ちたが、アジア発北米向けは約4割増え、日本発北米向けも5━6%増やすことができたといい、「特に貨物専用機のネットワークで柔軟に対応し、需要のあるところの荷物をしっかり獲得できた」と振り返った。
<通期予想は据え置き>
26年3月期通期の連結業績予想は据え置いた。通期の営業利益予想は前年比5.9%減の1850億円で、IBESがまとめたアナリスト13人の予想平均値1972億円を下回る。
4━6月期の連結営業利益は前年同期比21.2%増の367億円で、これまでの過去最高だった23年(437億円)に次ぐ額だった。国際線の増収などにより、売上高も同6.2%増の5487億円で過去最高だった。
中堀専務は、4━6月期の営業利益は想定を約60億円上振れしたが、為替など市況のプラス要因がなければ「おおむね計画通り」と説明。関税の影響も「中国発の貨物には影響が確かに出ているが、トータルではカバーできている。第2・四半期(7─9月期)以降も計画通りにいけるとの見通しを持っている」と話した。