独裁国家との貿易拡大、EU存亡の脅威に=ECBブログ

欧州中央銀行(ECB)のエコノミストは8日公表したブログで、欧州連合(EU)が独裁政権との貿易を拡大していると指摘、貿易が軍国主義政策の資金源となり、EU自体の存続を脅かすリスクがあるとの認識を示した。フランクフルトのECB本部、2023年撮影(2025年 ロイター/Heiko Becker/File Photo)
[フランクフルト 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のエコノミストは8日公表したブログで、欧州連合(EU)が独裁政権との貿易を拡大していると指摘、貿易が軍国主義政策の資金源となり、EU自体の存続を脅かすリスクがあるとの認識を示した。
ブログはECBエコノミストのクラウディア・マルキーニ氏とアレクサンダー・ポポフ氏が執筆。ECBの見解を反映するものではない。
ブログによると、EUはこれまで、社会正義、人権、労働規制、環境基準といった価値を重視した経済政策を掲げてきたが、実際には1999年以降、独裁政権との貿易が着実に増加。ロシアのウクライナ侵攻を受けた大規模制裁で、こうした傾向がようやく中断したという。
こうした傾向が進んだ背景には、EUが輸入元を非民主的な国にシフトしたことや、既存の貿易相手国の民主統治の質が低下したことがある。
ただ、中国との貿易拡大が原因との見方は否定し、中国を除外しても同様の傾向が見られると述べた。また、民主主義自体が衰退しているとの見方にも反論。EU域外の国々は中央値で見ると民主化が進んでいると指摘した。
EUのグリーン移行に必要な重要資源の多くが独裁政権下で産出されている点も懸念要因だと指摘。
「グリーン移行にはトレードオフが伴う」とし「現在の低炭素技術は、一般に独裁国家で産出されるさまざまなレアアース材料に依存している」と述べた。