EU、対米交渉で基本関税10%未満引き下げ実現は困難=関係者

欧州連合(EU)は、米国がEU向けの「相互関税」のベースラインについて、交渉を通じて10%未満に引き下げてくれる展開をあきらめざるを得ない様相が強まってきている。写真は、欧州委員会本部の外ではためくEUの旗。3月18日、ブリュッセルで撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
[ブリュッセル 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、米国がEU向けの「相互関税」のベースラインについて、交渉を通じて10%未満に引き下げてくれる展開をあきらめざるを得ない様相が強まってきている。交渉に詳しい5人の関係者が明かした。
ラトニック米商務長官はこれまで、EUから米国に輸出する大半の製品を対象とする相互関税の基本税率を10%未満にすることに否定的な姿勢を維持している。
一方欧州側の複数の関係者は、EUの交渉担当者は基本税率を10%より低い水準にするよう引き続き迫っていると述べた。
ただあるEU高官は、米政府が既に世界のほとんどの貿易相手に課した相互関税から収入が入り始めている以上、税率引き下げを巡る交渉のハードルはより高まったと指摘。「10%は懸案で、われわれは(引き下げを)働きかけているが、米国側は税収を得つつある」と付け加えた。
別の欧州側の関係者は、EUが相互関税の基本税率として10%を受け入れたわけではないと強調しつつも、このベースラインを変更したり廃止するのは難しいだろうと認めた。
米政府はEUとの交渉で基本税率を10%から動かすことは全く想定していない。ベセント財務長官は18日、トランプ大統領が税率を2倍に引き上げる決定をしたことが、EU首脳の一部に交渉の意思を強めさせたと説明した。
トランプ氏はEUに対して鉄鋼・アルミニウムに50%、自動車に25%の関税を発動した。EUが7月9日までに米国との交渉で合意に達しない場合は、現在10%に設定されている大半の製品の相互関税も最大50%に引き上げられる。