NY市場サマリー(17日)株反落、ドル上昇、利回り低下
<為替> ニューヨーク外為市場では、中東情勢が一段と緊迫化する中、ドルが主要通貨に対して上昇した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が18日までの2日間の日程で開いている連邦公開市場委員会(FOMC)も注目されている。
イスラエルとイランの軍事衝突が5日目に入る中、米軍が中東地域での戦力を増強するために同地域により多くの戦闘機を配備し、他の軍用機の配備期間を延長していることが当局者の話で分かった。こうした中、トランプ米大統領はイランに対し「無条件降伏」を呼びかけ、米国の忍耐は限界に近づいていると警告。同時に、イランの最高指導者ハメネイ師を殺害する差し迫った意図は「今のところ」ないと述べた。
中東情勢が一段と緊迫化する中、 原油先物 は4%超上昇。 フォレックスライブのチーフ外為 アナリスト、アダム・バトン氏は 「米国がイラン(攻撃)に関与し、その目的はもはやイランの核施設の破壊ではなく、政権転覆であることを市場は察知している」と指摘。 「コストがかかる複雑な戦争になる可能性がある。戦争に対する条件反射的な反応は常に米ドル買いで、きょうはそうした方向に向けた強い動きが見られた」と述べた。
この日発表の米経済指標では、5月の小売売上高(季節調整済み)が前月比0.9%減少。1月以来4カ月ぶりの大幅な減少となった。
ドルは発表直後にやや軟化したものの、他の経済指標が強弱混交となったことで、すぐに回復。メシロー・カレンシー・マネジメントの上級投資ストラテジスト、ウト・シノハラ氏は、米国の不明確な貿易政策が不確実性につながっていることを背景に、ドルはこのところ安全資産として従来の役割をあまり果たしていなかったと指摘。ただ「中東情勢の緊迫化を受けドルは新たな支持を見つけた。イスラエルとイランの軍事衝突が始まった13日に明らかになり、緊張が高まったきょうも再び見られた」と述べた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 金融・債券市場では、利回りが低下した。米国とイランとの緊張激化を巡る懸念から安全資産である債券への買いが強まった。市場では、17─18日に連邦準備理事会(FRB)が開く連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表される金融政策・経済見通しにも注目が集まる。
トランプ米大統領は17日、米国はイランの最高指導者ハメネイ師の居場所を正確に把握しているとした上で、ハメネイ師は「容易な標的」だが、少なくとも今のところは殺害することはないと言及。同時に、「われわれの忍耐は限界に達している」と述べた。
アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)のマネジングディレクター、キム・ルパート氏は、中東情勢を巡る不安を主因に「利回りはさらに若干低下するだろう」と言及。「中東情勢は、すでに困難な状況を一段と複雑化させている」とし、市場では18日のパウエルFRB議長の発言がよりハト派的になるか、タカ派的になるかで見方が分かれていると述べた。
指標となる10年国債利回りは5.9ベーシスポイント(bp)低下の4.395%。2年債利回りは2.4bp低下の3.946%となった。
2年債と10年債の利回り格差は約3bp縮小し、45bpとなった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 米国株式市場は反落して取引を終えた。イスラエルとイランの攻撃の応酬が続き、米軍が中東に戦闘機を移動させる中、投資家の懸念が高まった。
株価指数は午後の取引で下げ幅を拡大し、投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は21.6と5月23日以来の高水準で取引を終えた。
ロイターは米当局者の話として、米軍が中東地域により多くの戦闘機を配備し、他の軍用機の配備期間を延長していると伝えた。
また、トランプ米大統領はイランに対し「無条件降伏」を呼びかけ、米国の忍耐は限界に近づいていると警告した。
USバンク・ウェルス・マネジメントのチーフ株式ストラテジスト、テリー・サンドベン氏は「見通しが悪く、不確実性が高く、不安が高まる局面にある」と語った。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、対ユーロでのドル高を背景に売られ、続落した。
外国為替市場では対ユーロでドル買いが先行。ドル建てで取引される商品の割高感につながり、金相場を圧迫した。また、翌17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見などの重要イベントを控えてひとまず利益確定の売りも広がった。
イスラエルは17日、イラン各地へ攻撃を続行。イスラエル軍は同日、テヘラン中心部で精鋭組織「革命防衛隊」のシャドマニ参謀長を殺害したと発表した。イスラエル軍によると、シャドマニ氏は革命防衛隊や軍を指揮する立場だったとされ、「(イラン最高指導者)ハメネイ師に最も近い人物」と見なされている。トランプ大統領は17日、SNSに 「イランの最高指導者が隠れている場所を正確に把握しているが、今は殺害しない」と投稿。緊迫度を増す中東情勢への市場参加者の警戒感は根強く、金の下値は限定的だった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、中東地域の紛争激化を警戒した買いが再燃し、反発した。
イスラエルとイランの交戦が続く中、市場は原油・天然ガス輸送の要衝、ホルムズ海峡付近の航行状況を注視。英海事機関UKMTOが16日に明らかにしたところよると、同海峡やペルシャ湾で電子妨害が多数報告され、船舶の位置情報が混乱しているという。17日には石油タンカー2隻が衝突する事故が発生したとの報道もあり、一帯のエネルギー 供給網の混乱リスクに着目した買いが膨らみ、相場は終盤にかけてじりじりと上値を拡大した。
ただ、足元では供給が需要を上回るとの観測が根強く、時間外ではマイナス圏で取引さ れる場面もあった。国際エネルギー機関(IEA)は17日に公表した月報で、今年の世界の石油需要予測を下方修正。半面、石油輸出国機構(OPEC)などの増産計画を踏まえて供給は十分との見通しを示した。また、翌18日午後には、米連邦準備理事会(FRB)による金融政策決定も控えており、結果待ちの様子見ムードも強かった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 145.25/145.
30
始値 144.69
高値 145.37
安値 144.49
ユーロ/ドル NY終値 1.1479/1.14
82
始値 1.1568
高値 1.1577
安値 1.1475
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 97*25.5 4.8907
0 %
前営業日終値 96*26.0 4.9550
0 %
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*29.0 4.3869
0 %
前営業日終値 98*12.0 4.4540
0 %
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*02. 3.9856
00 %
前営業日終値 99*26.7 4.0360
5 %
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.7 3.9455
5 %
前営業日終値 99*26.3 3.9690
8 %
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 42215.80 -299.29 -0.70
前営業日終値 42515.09
ナスダック総合 19521.09 -180.12 -0.91
前営業日終値 19701.21
S&P総合500種 5982.72 -50.39 -0.84
前営業日終値 6033.11
COMEX金 8月限 3406.9 ‐10.4
前営業日終値 3417.3
COMEX銀 7月限 3715.1 +70.3
前営業日終値 3644.8
北海ブレント 8月限 76.45 +3.22
前営業日終値 73.23
米WTI先物 7月限 74.84 +3.07
前営業日終値 71.77
CRB商品指数 314.0141 +3.8433
前営業日終値 310.1708