日産、3代目「リーフ」を米で今秋発売 航続距離など向上

日産自動車は17日、電気自動車(EV)「リーフ」の新型車を公開した。写真は日産のロゴ。5月13日、神奈川県横浜市の日産本社で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Maki Shiraki Kentaro Okasaka
[東京 17日 ロイター] - 日産自動車は17日、電気自動車(EV)「リーフ」の新型車を公開した。初代リーフは日産が業界に先駆けて2010年に発売した量産型EVで、1990年代末の経営危機から立ち直った日産の象徴的な存在だった。今また再生の途上にある日産は、航続距離や急速充電など性能を向上させた3代目リーフに期待を賭ける。
今秋に米国で発売し、2025年度中に日本や欧州にも展開する。EVで最も不安視される航続距離は、75キロワット時(kWh)の電池を搭載したモデルで600キロメートル以上に伸ばした。60kWhの電池を積んだ現行モデルから150キロ以上改善し、新興メーカーの米テスラや中国の比亜迪(BYD)のEVとそん色ない水準に引き上げた。
日産として初めてモーター、インバーター、減速機を一体化した新開発の電動パワートレインを搭載し、従来より10%小さくして軽量化と音振性能の向上を実現。北米仕様では北米充電規格を初採用し、市場シェアの大きいテスラ向けの急速充電器にも対応可能にした。75kWhの電池を搭載するモデルは、15分の急速充電で現行車の2倍に当たる250キロ以上走行できる。
リーフは、カルロス・ゴーン氏が社長だった10年にデビューした。初代と2代目の累計で約70万台を販売。長らく世界で最も売れているEVだったが、今はテスラやBYDのモデルに抜かれている。
3代目はEVの先駆者の最新モデルとして注目度が高い一方、EVの成長鈍化と米国関税という2つの逆風の中で市場に出る。SBI証券の遠藤功治チーフエグゼクティブアナリストは「トランプ政権がEVへの補助金をカットし、関税発動後という最悪のタイミングでの発売になる可能性が高い」と話す。「新型リーフがとにかく売れないと日産は見限られる。株価反転のきっかけをつくれるのか注目したい」と言う。
日産はこれまで追浜工場(神奈川県横須賀市)でリーフを生産していたが、モデル刷新を機にEV生産の拠点とする栃木工場(栃木県上三川町)に移す。英国サンダーランド工場でも生産する。米国へは栃木工場から輸出するため、追加関税の影響を受ける公算が大きい。
価格は各市場での販売開始時期に合わせて公表する。米国での価格は、日米間で交渉中の関税の行方を注視しながら今後詰める。日米両政府はカナダで日本時間17日に首脳会談を開いたが、25%の自動車関税をはじめ日本が求める関税措置の撤廃や軽減で合意することはできなかった。トランプ大統領は自動車関税の税率をさらに引き上げる可能性も示唆している。