英4月GDP、前期比-0.3% 米関税受け23年10月以来の大幅減

6月12日、英国立統計局(ONS)が発表した4月の国内総生産(GDP)は前月比0.3%減と予想を大きく下回り、2023年10月以来の大幅な落ち込みとなった。写真はロンドンで9日撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)
[ロンドン 12日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が12日発表した4月の国内総生産(GDP)は、前月比0.3%減と市場予想を大きく下回り、2023年10月以来の大幅な落ち込みとなった。トランプ米政権の高関税政策の逆風のほか、国内の税優遇措置終了も下押しした。
ロイターがまとめたエコノミスト予想では0.1%減と予測されていた。
ONS高官は「4月の米国向けのモノの輸出はそれまでの4カ月連続の増加から一転し、月間ベースで過去最大の減少を記録した。関税の導入を受けほぼ全てのカテゴリーで減少した」と指摘した。
4月の対米輸出は20億ポンド(27億ドル)減少し、月間記録が始まった1997年以降で最大の減少幅となった。
ONSによると、住宅購入に対する一時的な減税措置の終了に伴い、4月の不動産取引と法律関連の活動が減少した。これが4月のGDPの0.3%減のうち0.2%分の要因となった。自動車メーカーの米国と欧州連合(EU)向けの生産と輸出が減少したことも影響した。
4月のGDPは前年同月比0.9%増と、ロイター調査の予想(1.1%増)を下回った。
月次GDP統計は振れが大きくなる傾向があり、一部エコノミストは、第1・四半期が強めに出て年後半に鈍化するのが22年以降のパターンだと指摘する。
EY・ITEMクラブのチーフエコノミックアドバイザーのマット・スワンネル氏は「ノイズとデータの質の問題を踏まえると、成長の基調ペースは今後2年は弱いと予想する」と述べ、米通商政策が、財政緊縮や過去の利上げの影響などの国内の逆風に追い打ちをかけたと指摘した。
英経済は第1・四半期に0.7%拡大し、他の主要7カ国(G7)の成長率を上回った。イングランド銀行(英中央銀行)は先月、通年の成長率予測を1%に上方修正した。しかし、2026年の成長率予測を1.25%に下方修正し、関税により3年後には英国のGDPが0.3%押し下げられるとの見通しを示した。
英中銀は来週の金融政策委員会で金利を据え置くと予想されている。
ICAEWの経済ディレクター、スレン・ティル氏は、来週の利下げはないだろうが、弱いデータを受け8月利下げの可能性が大きくなったと述べた。
ONSによると、4月の鉱工業生産は前月比0.6%減。製造業の生産が0.9%減少した。建設部門が0.9%増と主要部門で唯一プラスだった。4月の財貿易収支は232億ポンドの赤字で、赤字幅は3月の199億ポンド、エコノミスト予想の204億ポンドを上回った。