トランプ政策に揺れる香港ドル、許容変動幅を上下 金利にも影響

6月9日、トランプ米大統領の目まぐるしい政策が香港ドルの米ドルペッグ制を揺るがしている。写真は香港ドル紙幣。2017年5月撮影(2025年 ロイター/Thomas White)
Rae Wee Jiaxing Li
[シンガポール/香港 9日 ロイター] - トランプ米大統領の目まぐるしい政策が香港ドルの米ドルペッグ制を揺るがしている。
トランプ政権下の米ドルのボラティリティーにより、香港ドルはわずか1カ月の間に対米ドルで許容変動幅の端から端まで振れた。40年来のペッグ制を脅かすものとは見なされていないが、金利に劇的な影響を与え、香港の企業や投資家にとって厳しい環境をもたらしている。
香港の金利は米国と連動する傾向があり、香港ドル(1米ドル=7.75─7.85香港ドル)を比較的安定させてきた。
しかし、世界の投資家による米国資産離れが進み、香港に資金が流入する中、この1カ月で双方の動きに乖離が生じている。
香港の金利が低下する中、米3カ月物金利と香港指標とのギャップは2020年までさかのぼれるLSEGのデータに基づくと、先週に過去最も大きくなった。
アナリストによると、香港ドルと米ドルの金利が時折乖離するのは普通のことだが、ここ数週間で見られた急激な動きは、特に世界貿易の混乱やその他の不確実性を考えると、企業や投資家にとって懸念材料だ。
香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は、9日付の地元紙サウスチャイナ・モーニング・ポストとのインタビューで、香港ドルの米ドルペッグ制を維持すると表明した。