米ISM製造業景気指数、5月は6カ月ぶり低水準 納期が長期化

米供給管理協会(ISM)が2日発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は6カ月ぶりの低水準となる48.5に低下した。2024年3月、オハイオ州コロンバスの工場で撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ワシントン 2日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が2日発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は6カ月ぶりの低水準となる48.5に低下した。低下は3カ月連続。関税の影響でサプライヤーの納入に時間がかかっており、一部商品の供給不足が迫っている可能性を示唆している。
4月は48.7だった。50が拡大・縮小の分岐点となる。ただ、ISMが長期的に経済全体の拡大を示すとしている42.3の水準は依然として上回っている。エコノミスト予想は49.3だった。
この結果は、輸入原材料に大きく依存している製造業が、米中貿易摩擦の緩和の恩恵を受けていないことを示唆している。エコノミストらは、輸入関税の発動方針が二転三転しているため企業の計画策定が困難になっていると指摘している。
供給業者の納入を示す指数は4月の55.2から56.1に上昇し、2022年以来の高水準を付けた。同指数は50を超えると納入が遅延していることを示す。納入期間の長期化は通常、好景気と関連しているが、今回の長期化は、関税に関連したサプライチェーンのボトルネックを示唆している可能性が高い。
輸入指数は4月の47.1から39.9に低下し、09年初め以来の低水準となった。輸出も低調だった。
先行きを示す新規受注指数は4月の47.2から47.6にわずかに上昇した。
支払い価格指数は、サプライチェーンの逼迫を反映し、4月の69.8から69.4に低下したが、依然として高水準にある。
雇用指数は4月の46.5から46.8に小幅上昇した。
業種別では、輸送機器、化学製品、一次金属を含む7業種が縮小。家具、電気機器、家電部品、機械を含む7業種は拡大した。
オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、マシュー・マーティン氏は「(関税導入前の)前倒し需要が一段落したため、製造業部門の先行き見通しは思わしくない」とし、「企業は原材料費の上昇や供給の混乱に直面しているほか、新規注文へのコミットメントに慎重な顧客への対応に苦慮している」と述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国シニアエコノミスト、オリバー・アレン氏は「在庫が減少するにつれ、製造業者がサプライチェーンの上流にコストを転嫁する圧力が高まる」と指摘。ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、シャノン・グレイン氏は「関税措置の発表と取り下げが繰り返される中、多くの企業は事態が明らかになるのを待っている」と述べた。