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エヌビディア、第1四半期売上高が予想上回る 株価5%高

2025年05月29日(木)09時45分

米半導体大手エヌビディアは28日、第2・四半期の売上高が市場予想を下回るとの見通しを示した。写真は4月、台湾・台北で撮影(2025年 ロイター/Ann Wang)

[28日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアが28日発表した第1・四半期(2─4月)決算は売上高が予想を上回った。米政府の新たな対中輸出規制が発動される前に顧客が人工知能(AI)半導体を調達した。

ただ、同社は第2・四半期の売上高が市場予想を下回るとの見通しを表明。同規制により、売上高が80億ドル目減りすると予想している。

エヌビディアは第2・四半期の売上高を450億ドルから上下2%と予測。LSEGがまとめたアナリストの平均予想は459億ドルだった。

時間外取引の同社株は5%上昇。第2・四半期の見通しが懸念されていたほど悪くなったことや、同社が新型半導体「ブラックウェル」についてマイクロソフトなどからの需要を強調していることが好感された。

ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で、米政府の対中輸出規制について、エヌビディアが中国の巨大なAI開発者基盤から切り離されるリスクがあると主張。中国の半導体産業が高度化し、米国の優位性に迫っていると指摘した。

ただ、米国製AI半導体の海外への拡散を規制する「AI拡散ルール」をトランプ大統領が撤回したことを評価し「トランプ大統領は米国に勝ってほしいと考えている」と述べた。

同CEOはエヌビディアの半導体「ホッパー」について中国市場向けに仕様を変更することはできないと述べたが、ブラックウェルについてはコメントしなかった。ロイターは先に、同社が安価な中国向けのブラックウェル発売を計画していると報じた。

コレット・クレス最高財務責任者(CFO)はアナリストとの電話会議で「遠くない将来、数十ギガワットのエヌビディアAIインフラを必要とするプロジェクトが視野に入っている」と指摘。短期的には対中規制に直面しており、中国のデータセンター関連の売上高が減少したと述べた。

同社は今月、中東で一連の新規契約に調印した。

米政府はエヌビディアのAI半導体「H20」の対中輸出を規制。これを受け同社は4月に55億ドルの費用計上を予想したが、同社は今回、第1・四半期の実際の費用が予想を10億ドル下回ったと表明。一部の材料を再利用できたことが寄与した。

第1・四半期はH20の売上高が25億ドル目減りしたが、第2・四半期は80億ドル目減りする見通しという。

ただ、第1・四半期のH20の売上高は46億ドルだった。中国は第1・四半期の売上高全体の12.5%を占めた。

第1・四半期の調整後1株利益は0.81ドル。市場予想には大きな開きがあった。特別費用を除くベースの調整後1株利益は0.96ドル。LSEGがまとめた調整後1株利益の予想は0.93ドルだった。

第1・四半期のデータセンター部門の売上高は391億ドル。LSEGがまとめた市場予想は393億ドルだった。

自社製品の製造に関する契約額は298億ドル。前年比では増加したが、前四半期比では減少した。

DAダビッドソンのギル・ルリア氏は、H20に対する規制について、全体的な影響は懸念されていたよりも少なかったとし、中国企業が規制発動前にH20を調達したとの見方を示した。

Emarketerのアナリスト、ジェイコブ・ボーン氏は「データセンターの拡張が関税の影響を受け、今後数四半期のAI半導体需要の逆風となる恐れがある」とし「これはエヌビディアの圧倒的なシェアの終わりを意味するものではないが、シェアを維持するには、地政学・競争・経済面の課題という複雑さを増す環境に対応することが必要になる」と述べた。

ロイター
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