トランプ氏、新たな関税戦争 EUとアップルに矛先

トランプ米大統領が新たな関税戦争に乗り出した。中国と「一時休戦」したのもつかの間、今度はアップルと欧州連合(EU)に矛先を向けた。ホワイトハウスで6日撮影(2025年 ロイター/Kent Nishimura)
[23日 ロイター] - トランプ米大統領が新たな関税戦争に乗り出した。中国と「一時休戦」したのもつかの間、今度はアップルと欧州連合(EU)に矛先を向けた。
トランプ氏は23日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、米国内で販売されるアップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」が海外で製造されたものならば、アップルが25%の関税を支払う必要があると主張。「私はずっと前に、アップルのティム・クック(CEO)に、米国で販売されるiPhoneがインドや他のどこの国でもなく、米国で製造されることを期待していると伝えた」とした。
EUについては関税交渉が不調だと不満を示し、EUからの輸入品に6月1日から50%の関税を課すことを勧告すると投稿した。
トランプ氏の投稿について、欧州委員会はコメントを控え、1500GMT(日本時間24日午前0時)に予定されているセフコビッチ委員(貿易)とグリア米通商代表部(USTR)代表との電話協議を見守る方針を示した。
トランプ氏の発言を受け、欧州株は下落、S&P総合500種指数先物も寄り前に1.5%下落した。
シティ・インデックスとフォレックス・ドット・コムのマーケットアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は、関税問題を巡る楽観論が「数分、数秒で吹き飛んだ」と指摘した。
トランプ氏が、アップルという特定の企業に関税を課すことができるかどうかは不明だ。トランプ氏は、中国との関税の応酬で対中関税率を145%まで引き上げたが、金融市場が大荒れとなり、スマホなど一部品目を免除した。
一方アップルは、トランプ氏や政権高官からiPhoneの国内製造圧力を受ける中、2月に国内の雇用・施設拡大に向けた4年で5000億ドルの投資計画を発表した。ただこの投資でiPhoneの生産を国内に移すという説明はなかった。
アップルは、対中関税の価格などへの影響を念頭に、米国で販売するiPhoneについて中国製からインド製への切り替えを進め、4─6月期に米国で販売するiPhoneの大半がインド製になるとの見通しを示していた。