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中国4月鉱工業生産、予想上回る 米関税の影響限定的 小売売上高鈍化

2025年05月19日(月)15時51分

 5月19日、中国国家統計局が発表した4月の鉱工業生産は前年比6.1%増と、3月の7.7%増から鈍化した。写真は4日、上海の土産物店で撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)

[北京 19日 ロイター] - 中国国家統計局が19日発表した4月の鉱工業生産は前年比6.1%増と、3月の7.7%増から鈍化した。ただ、ロイターがまとめたアナリスト24人の予想である5.5%増は上回った。

米国との貿易戦争で世界第2位の経済大国の勢いが鈍化する可能性があるが、米関税による経済への影響はまだ大きな痛みとして表れていない。政府の支援策が寄与した可能性がある。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、Tianchen Xu氏は「4月の底堅さは財政支援の前倒しが一因だ」とした上で「産業付加価値が急速に増加したにもかかわらず、輸出販売額はほぼ停滞している」とし、米相互関税の影響を強調した。

国家統計局の報道官は会見で「中国の対外貿易は困難を乗り越え、着実な成長を維持しており、強い回復力と国際競争力が示された」と指摘。米中貿易摩擦の緩和が二国間貿易の拡大と世界経済の回復に寄与するとの見方を示した。

米中は12日、相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意したと発表した。

<残る圧力>

4月の小売売上高は5.1%伸びたが、前月の5.9%増から鈍化。予想は5.5%増だった。

今年の消費は消費財の下取り策や地方自治体による商品券など、家計支出を支援する政府の取り組みによって支えられている。家電製品の売上高は38.8%増加した。

1─4月期の固定資産投資は前年同期比4.0%増と、予想の4.2%増を下回った。1─3月期は4.2%増だった。

4月の新築住宅価格は前月比横ばい。住宅セクターを安定化させる当局の取り組みにもかかわらず、下落圧力が続いていることが示された。1─4月の不動産投資は前年同期比10.3%減少。不動産販売(床面積ベース)は前年比2.8%減少だった。

また国家統計局は、4月の失業率が5.1%と前月から0.1ポイント改善したと発表。ただ米市場に大きく依存している一部工場では、従業員を一時帰休させているという。

ゴールドマン・サックスのエコノミストは追加の金融緩和について、中国共産党中央政治局の7月会合が次の重要な節目になると予想している。

中国経済は第1・四半期に前年同期比5.4%成長し、予想を上回った。エコノミストらは米関税によって成長の勢いが阻害される恐れがあるとしているものの、当局は5%前後という今年の成長目標達成になお自信を示している。

キャピタル・エコノミクスの中国経済責任者、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は、先週初めの米中合意が一定の下支え要因になるとしながらも「関税の緩和が持続可能だとしても、中国経済はさまざまな逆風により、今後数四半期でさらに減速する見通しだ」とし「貿易戦争を受けて、家計は雇用の見通しを懸念し、支出に慎重になったのではないか」と述べた。

ロイター
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