SUBARU、今期の業績予想未定 関税などで「合理的な算定困難」

SUBARUは14日、2026年3月期の連結業績予想(国際会計基準)を未定とすると発表した。写真は同社ロゴ、2017年都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)
Maki Shiraki
[東京 14日 ロイター] - SUBARUは14日、2026年3月期の連結業績予想(国際会計基準)を未定とすると発表した。主力市場の米国の関税措置などにより「現時点で合理的な算定が困難」なため。IBESがまとめたアナリスト18人の予想平均は3617億円。
大崎篤社長は会見で、今期業績予想は「合理的な算定が可能となった段階で速やかにアップデートする」と説明。今期を通じて米関税の影響を受けた場合でも「さまざまな対策を講じ、まずは営業利益1000億円レベルを狙う」とし、生産性向上や収益機会を創出して積み上げを目指すという。
大崎社長によると、仮に何も策を講じない最悪の事態を想定した場合、関税の影響額は年間で25億ドル程度。試算の対象は日本からの車両輸出のほか、同社内で手掛ける部品への課税も含む。同日の為替レート(1ドル=147円)換算では約3675億円。
同社の新車販売全体の約7割を占める米国販売の昨年実績は約66万台。このうち約35万台が米インディアナ州の工場で生産され、残る約31万台は日本から輸出した。
戸田真介・最高財務責任者は、関税を回避できる米国工場での増産について「いろいろ考えている最中」と述べた。同工場は40万台超の生産能力はあるが、取引先の供給力なども考慮すると適正な生産量は34万─35万台といい、「米国生産を増やしたいが、一方で今のサプライチェーンをどう維持していくか、日本でのものづくりも両立させなければならない」と語った。
電気自動車(EV)生産に向けた矢島工場の工事の影響で一時的な生産制約が生じるため、今期の生産・連結販売は90万台を計画する。前期の生産は同2.4%減の94万6000台、連結販売は同4.1%減の93万6000台だった。
米国の関税や環境規制の緩和、EV成長鈍化などを受け、今期の設備投資計画は「精査中」として公表を見送った。大崎社長は、EV専用工場をガソリンエンジン車との混流生産にするなど「少し見直す余地が出てきた」といい、「さまざまな投資をいったん見直す」と話した。
同時に発表した25年3月期の連結決算は、営業利益が前年比13.4%減の4053億円だった。円安効果が960億円押し上げたものの、販売の減少や販売奨励金の増加で1231億円圧迫された。米国向け販売奨励金は1台当たり2000ドルと前期比800ドル増え、世界全体の販売奨励金総額は同668億円増加した。